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ブラジル経済2013/6

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ブラジルのインフレと抗議デモ

(2013年6月12日)

ブラジルで公共交通機関の運賃引き上げに対して大規模デモが発生した。

サンパウロでは、学生、労働者など2000人が「値上げ反対」デモに参加し、
地下鉄の出入り口を破壊するなど一部が暴徒化した。

きっかけはサンパウロのバスや地下鉄の運賃引き上げ。

3.0レアルから3.2レアルへの引き上げに対して、学生や低所得者の不満が爆発した形だ。

不満の根底には、昨年から勢いづく物価上昇にある。

5月の消費者物価指数は1年前と比べると6.5%上昇しており、
これはブラジル中央銀行の政策目標「上限」。

ブラジル通貨・レアルが5月の1ヶ月で7%も対ドルで低下し、(米国の緩和縮小観測が影響している)
一時、1ドル=2.14レアルという4年ぶりの安値となった。

レアル安により輸入電化製品などの価格が上がり始め、物価を押し上げている。

さらに天候不順の影響により、トマトは前年比2倍、タマネギも7割高にるなど
食品価格も高騰している。

ブラジル中央銀行は4月に政策金利を引き上げ、8.0%としたが
インフレもレアル安も止まらない状況になってしまっている。

ブラジル経済は内外企業の投資の減退、輸出採算の悪化などで行き詰っているが
これまでは何とか国内総生産の6割を占める個人消費の堅調さによって支えられてきた。

しかしインフレが、低所得者に打撃を与え、日用品消費が11%減少(2013年1-2月)するなど
経済の底割れ懸念が出始めている。

インフレと景気後退。

ブラジル経済は岐路に立たされている。




ブラジル、ハイパーインフレの記憶

ブラジル人がインフレへの警戒心が強く、今回サンパウロでデモが発生したのは
1980年代から90年代にかけてハイパーインフレが発生した記憶があるからだ。

このときの物価上昇勝率は年率で数千パーセントに及び、
人々は給料を受取るとスーパーに駆け込み日用品を大量に購入するという生活を強いられた。

強烈なインフレで、あっという間に通貨価値が下落して行く状況だったからだ。

ハイパーインフレが発生した原因は、
1985年の軍事政権からの民政移管に伴なう「政府支出の増加」と「財政赤字」にあった。

1994年に、1ドル=1レアルでスタートさせる「レアル・プラン」を導入し、
市中の通貨をすべて米ドルにリンクしたレアルに切り替えることでハイパーインフレは終息した。
(インフレの流れを断ち切った上で、1999年に変動相場制に移行した。)

ただしこれでブラジルからインフレ体質が消滅したわけではなく
2002~2003年には再び2桁インフレが発生している。

これは2003年のルーラ大統領就任に伴なう政策変化への懸念から
通貨レアルが暴落したことによる。

ブラジル経済は、財政赤字と通貨安に既弱な体質を持っているのである。


(2013年6月12日)


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