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FRB出口戦略2013/5

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FRBの金融緩和「出口戦略」 (2013年5月)


《ポイント》

  • FRBは、量的緩和の「出口戦略」について3段階で考えている。
  • 出口へ向かうことを放置すれば、
    「過剰な利益の追及」を行う投機マネーの影響で新たな危機が準備される。
  • ただし、出口戦略第1段階の発動でさえもFOMC内に意見の相違があり
    タイミングを誤れば、市場に大きな負のインパクトを与える。

米連邦準備理事会(FRB)バーナンキ議長は5月22日の米議会での証言で
「雇用の持続的回復が確認できれば、
 今後数回のFOMC(米連邦公開市場委員会)で資産購入のペースを縮小できる」
と発言し、年内の量的緩和縮小の可能性を示唆した。

FRBは、サブプライム問題、リーマンショックによる金融危機に対応するために3弾のQE(量的緩和)を続け
資産規模は3兆ドル強にまで膨らんでいる。

なるべく早期に正常化に向かうべきだとの意見はFOMC内でも何度も出されている。

また、バーナンキ議長は
金利収益が著しく低い状況で、投資家がデリバティブなどで無理な信用リスクを取って稼ごうとする
「過剰な利益の追求」と呼ばれる行動について
「非常に深刻にとらえている」と表明した。

量的緩和の長期化は、投機マネーの増大で市場にゆがみをもたらし、新たな危機を準備するもの
との認識がそこにはある。

ただし、量的緩和の部分的な縮小でさえ金融政策の転換点ととらえ市場が過剰反応するリスクもある。

FOMC内では、出口を「急ぐべきだ」との意見と
財政引き締めの影響など景気動向の不透明さから「急ぐべきでない」という意見に割れている。

3段階での緩和解除戦略

時期とタイミングの問題は当然の残るが、いつかは緩和解除に向かっていかなければならない。

議長発言やFOMC議事録からは、そのために3段階の出口戦略が検討されていることが読み取れる。

内容は以下のようになる。

第1段階
新規購入の縮小
・毎月850億ドル購入している米国債・住宅ローン担保証券(MBS)の購入を
 段階的に縮小
第2段階
FRBの資産規模の縮小
・米国債、MBSの償還分で再購入せず、保有額を減らす
・市場売却は行わず、市場に混乱を与えない策を取る
第3段階
ゼロ金利解除
・失業率6.5%に下がった段階でゼロ金利を解除
・政策金利(現行はFFレート)の見直し



どちらにしても第1段階の発動のタイミング(年内・秋口が想定されている)が問題となるが
よほど慎重を期さなければ市場へのインパクトは相当大きなものとなるだろう。

欧州、中国、新興国の景気低迷が続く見通しであり、
日本は異次元緩和、欧州中央銀行(ECB)も大胆な金融緩和を検討している。

FRBの判断はこうした全体を見通した上でのものとならざるを得ないが
ずるずる先延ばしにすれば、危惧している通りのマネー肥大化による経済危機を招き寄せてしまう。

難しいかじ取りが迫られている。

(2013年5月24日)




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