オーストラリア2013/5
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オーストラリア、財政赤字継続へ
(2013年5月14日)
オーストラリアのギラード政権が2013年度(2013年7月~2014年6月)政府予算案を発表し、
財政の黒字化を2016年に先送りすることを明らかにした。
(これまでは2012年度に財政黒字化を目指してきた。)
主に以下の要因で税収が落ち込む見込み。
- 豪ドル相場上昇し、輸出が減少する。
- 最大の輸出先である中国の景気回復の遅れ。
- 資源価格の下落。
豪州経済「転換期」の政府認識
予算案によれば2013年の財政収支は135億ドルの赤字の見込み。
実質GDPの伸び率も3%から2.75%に下方修正した。
スワン財務相は「オーストラリア経済が転換期にある」と述べ、
鉱物・エネルギー資源や農産物などの第1次産品の輸出に頼った成長シナリオが限界を迎えている
との認識を示した。
失業率は、現在の5.5%から2013年度は5.75%に悪化する見通しで、
豪ドルも金融緩和の影響で上昇基調が続いている。
(中央銀行は5月7日、政策金利を過去最低の2.75%に引き下げている。)
オーストラリア政府は総額10億豪ドルを投じ
・企業の技術革新促進のための「特区」を設ける
・研究機関と企業の連携強化を図る
・中小企業支援
などを行うとしている。
また、インフラ整備に6年間で240億豪ドルを投資し、
鉄道、高速道路、港湾、情報通信インフラなどを建設・整備する。
ただし産業界からは
「予算案の経済見通しが楽観的過ぎる」「歳入見通しが甘い」
「中小企業支援が不十分」
などの批判と不満の声が出ている。
中国依存からの脱却と新戦略
オーストラリア経済は、これまで第1次産品輸出の依存が強く、
とりわけ輸出の3割を占める最大の貿易相手・中国の経済動向の影響を大きく受ける体質。
現在、中国とのFTA交渉をめぐり、
対豪州投資に関するオーストラリア側の審査の厳しさをめぐり対立が深まっている。
このためギラード政権は、中国との関係を引き続き重視するものの
広く東南アジア全域に輸出市場を広げる方針を打ち出している。
そのための柱と位置付けられるのが日本とのFTA(経済連携協定)とTPP(環太平洋経済連携協定)。
ただし交渉大詰めの日豪FTAも
日本の農産物輸入関税引き下げを強く要求する一方で
日本車に関する関税引き下げに強く抵抗するなど
豪州側は、経済状況の厳しさから強い姿勢を崩そうとはしていない。
中国依存経済からの脱却がはたして思惑通り進むのか。
豪州は岐路に立たされている。
(2013年5月14日)
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