ポルトガル2013/5
金融危機 経済破綻 世界・日本 > ニュース > 国際ニュース > ポルトガル、財政改善と経済低迷
ポルトガル、財政改善と経済低迷
(2013年5月17日)
ポルトガル経済は、財政再建策が進められ国債利回りに落ち着きが見られるようになる一方、
失業率が悪化するなど経済状況は厳しさを増している。
欧州債務危機の波及でポルトガルがEUの支援を受けるようになって2年が経過した。
EU(欧州連合)、IMF(国際通貨基金)、ECB(欧州中央銀行)が、
危機に陥ったポルトガル支援を決めたのは2011年5月。
支援規模は780億ユーロ(約10兆2000億円)。
ポルトガル政府は財政危機からの脱却のために以下を行ってきた。
- 所得税の増税
- 付加価値税(消費税)の税率引き上げ
- 医療費の自己負増
- 公営企業の民営化
- 公共事業削減
さらに今年5月9日には以下の案を公表した。
- 年金支給年齢の引き上げ
- 公務員削減、労働時間を増やす
(EU、IMF、ECBはこの案を受け入れ、20億ユーロの追加融資を実行する)
これらの改革路線によってポルトガルは危機的状況から脱しつつあり、
2011年夏には14%を超える水準にあったポルトガル10年物国債の流通利回りは
5.4%にまで低下している。
ただし問題は、国民の不満の高まりに象徴される経済状況の悪化だ。
国民統計局が5月9日に発表した失業率は
17.7%と過去最高を記録した。(2013年1~3月期)
2013年通年の失業率は18.2%になる見通しであり、
2013年のGDP成長率はマイナス3.2%と、3年連続のマイナス成長になると見込みだ。
つまり、財政再建を優先し、増税と公共事業削減を進めた結果、
景気が一段と冷え込むという構図になっている。
これは、ポルトガルだけでなく南欧各国に共通している。
欧州連合(EU)統計局が5月15日に発表した1~3月期の経済見通しは以下。
2013年1~3月期・GDP成長率 | |
---|---|
ユーロ圏 | ▲0.2% |
フランス | ▲0.2% |
イタリア | ▲0.5% |
スペイン | ▲0.5% |
ポルトガル | ▲0.3% |
ユーロ圏の経済成長は、6四半期連続でのマイナス成長となる。
(2013年5月17日)
関連ページ
・ECB利下げ (2013/5/3)
・FRB議長、量的緩和の継続姿勢 (2013/2/27)
・欧州危機は解決していない (2013/2/8)
・欧州、リストラ策に政府が介入 (2013/2/5)
・FRB、金融緩和策を維持 (2013/1/31)
・欧州で進む銀行離れと社債バブル (2013/1/6)
・欧州銀へ資本直接注入を合意 (2012/6/29)
・スペイン国債利回り最高水準 (2012/6/13)
・ギリシャ政府系銀行の苦境 (2012/5/26)
・金融緩和と株・通貨の連動 (2012/4/5)
★ポルトガル経済
★各国のファンダメンタルズ
★ユーロ圏経済
・欧州中央銀行(ECB)
・フランス
・イタリア
・スペイン
・フィンランド
・オランダ
・ギリシャ