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デリバティブ規制をめぐる動き

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デリバティブ規制をめぐる動き

(2013年3月12日)

デリバティブ規制をめぐり、
国際的な金融当局と銀行、証券会社などの金融市場関係者の間で駆け引きが激しくなっている。

デリバティブ規制の発端は2008年の金融危機。

米大手保険会社AIGの倒産危機が
デリバティブ取引を通じ大手投資銀行をはじめとする銀行の連鎖倒産に発展しかけた。

危機直後のG20は、再発防止策として、デリバティブの国際規制を監督機関に要請し、
デリバティブ取引を証券取引所などに集中させ、リスク管理し安くすることになった。

現在、銀行と証券の監督当局の国際組織であるバーゼル銀行監督委員会と証券監督者国際機構が
共同で店頭デリバティブ規制を検討している。

デリバティブ規制がもたらす弊害とは?

店頭デリバティブは600兆ドル(6京円)を超える想定元本がある。

このまま放置すれば、
何らかのきっかけで世界中の金融機関が連鎖倒産し、金融システムが崩壊する事態が十分考えられる。

当局が検討しているのは、
デリバティブ契約時に、当事者の双方に契約の一定額の当初「証拠金」を拠出させる規制案。

証拠金を積めば取引の安全性は高まる。

ただし、証拠金負担によって健全なヘッジ市場が縮小し、実体経済に悪影響を及ぼす側面もある。

例えば、東南アジアの企業は、
自国通貨建ての債券市場が育っていないため、米ドル建て債への依存度が高い。

1997年のアジア通貨危機で為替変動により大打撃を受けたため
以降は、デリバティブの1種である通貨スワップによって為替変動リスクをヘッジしている。

東南アジアにおいて、デリバティブなしのドル債市場はあり得ないのである。

しかし、デリバティブ規制が実施されれば年0.6%程度のコスト増となり(通貨スワップの利回り換算)、
経済に縮小効果をもたらす。

また、自動車大手企業なら、通貨スワップの負担増は100億円単位になる。

中小企業は通貨スワップによるリスクヘッジを行わなくなり、
為替変動リスクにさらされ、かえって危険性を高めてしまいかねない。

市場関係者などの要望を受け、当局は一定の規制案の見直しを行っている。

 ・当初証拠金の対象を、大型取引に限定する。
 ・各国政府や国際機関は対象外にする。

などであり、通貨スワップも短期のものは対象外するかどうか検討する、との問題提起もされた。

ただし、市場関係者は
「実需を伴う通貨スワップは対象外とすべき」などの意見が強く、
規制による信用収縮を懸念する声は根強い。

こうした駆け引きの中、最終案は6月頃に出される予定。

(2013年3月12日)


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