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元・オフショア市場2012/3

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日本で人民元オフショア市場の創設へ (2012年3月)

日本政府は、人民元を中国外で取引する「オフショア市場」の設立にむけ
日中双方の財務省、中央銀行による作業部会を設立、具体策の協議に入った。

オフショア市場
オフショア市場とは、国内市場と切り離した形で、非居住者の資金調達や運用を、規制の少ない比較的自由な取引として認める市場。
(為替管理、税、金融などの規制が少ない)
日本では、1986年に東京オフショア市場が開設されている。

東京市場の国際的地位の向上」のため
今後の拡大が見込まれる「人民元の売買を取りこむ」狙いがそこにある。

現在、人民元のオフショア市場が開かれているのは香港のみ
(英国、シンガポールが開設に向けた動きを見せている)

香港では、オフショア市場の開設以来
人民元建ての預金が2年で6倍に増加した。
(2009年:1000億人民元 ⇒ 2011年11月:6273億人民元)

オフショア市場での人民元取引ができれば
企業にとっては、人民元を調達しやすくなり、
個人も、人民元建て預金や、関連する金融商品の購入が容易になるなどのメリットが生まれる。

今後、人民元取引を巡る世界的な市場間競争が激化する見通しであり、
日本政府は、昨年12月の日中首脳会談、今年2月の財務相訪中などを通じ
円・人民元の直接交換」「人民元による貿易拡大」などで中国側と合意している。

日本政府は、こうした協力関係と並行して
オフショア市場の開設に向け具体的準備に入った。

中国の人民元・国際化の推移
2009年7月人民元建て貿易決済の一部解禁
9月香港で、人民元建て中国国債の募集開始
2010年6月人民元建て貿易決済の対象地域を拡大
2011年1月人民元建て対外直接投資を一部解禁
10月人民元建て対内直接投資を一部解禁
12月日中首脳会談で、金融・経済の協力合意
・円と元の直接交換
・オフショア市場の日本での設立
2012年2月円・人民元の直接交換に向け、作業部会設置


人民元の規制緩和がカギ

オフショア市場の設立のために課題となるのが
中国側の人民元規制のより一層の緩和策。

中国政府は、人民元の安定を保つため、元と外貨の交換を規制しており、
株式投資などの資本取引も一部の機関投資家ににしか認めていない。

各国通貨の
貿易取引に対する為替取引倍率
米ドル240倍
140倍
人民元3倍

こうした規制により、中国外で流通する元の通貨量が少なく、
これが市場設立の妨げとなっている。

今年2月、中国人民銀行(中欧銀行)は、
10年計画で資本取引の自由化を進めるべきとの報告書を作成し、
3段階で自由化を進めるとの方向性を打ち出した。

日本としては、中国側のこうした動きをとりこみながら
オフショア市場設立に向け、日中間の連携を強化していく方針である。

(2012年3月16日)


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