金融news2012/2/17
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円と人民元の直接「交換」へ (2012年2月)
日本と中国の通貨当局は、
円と人民元の直接交換の拡大に向け、市場の整備に乗り出すことで合意した。
日中合同の作業部会を設置し、
直接交換に向けた金融規制などの見直しに着手する。
合同作業部会は、
日本側は、財務省、金融庁、日銀などが参加し、
中国側は中国人民銀行(中央銀行)を中心に編成される。
日中の金融市場発展への協力 |
・ドルを介さない、 円と人民元を直接交換する市場の発展促進 ・円建て、元建て債券市場の発展支援 ・民間の円建て、元立ての金融商品販売の環境整備 |
日本から中国への輸出は年々拡大しており
すでに「中国向け」は「米国向け」を上回り、
日本にとって中国は最大の貿易相手国となっている。
しかし、円と元の交換は、そのほとんどが米ドルを介した間接決済となっており
日中貿易における「元」建て取引は1%にも満たない。
その分、企業や金融機関などは、手数料などのコスト負担や
為替リスクを抱え込んでいるのが現状。
世界通貨として国債貿易決済の絶対的中心であった米ドルへの信認が低下する中、
日中の思惑が一致する状況が生まれている。
中国の米ドル離れ
中国はこれまで、元の国際通貨化には極めて消極的で
ドルに寄り添うことで対米輸出を伸ばしてきた。
しかしここにきてドルへの将来不安感を強めており
人民元の貿易や投資での利用を拡大する「国際化」を模索し始めている。
輸出をすればするほど中国にはドルが流れ込み、
中国の対外準備額は3兆2千億ドルにまで膨らみ、
「必要な水準をはるかに超えている」(人民銀行総裁)という認識に至っている。
2011年の元建て貿易決済額は、前年の4.1倍に膨らみ
中国の全貿易に占める「元立て」の割合は1割に達した。
中国が、日本が提案した「円と元の直接交換」に積極姿勢なのは
中国のドル不信と、ドル一極体制から次の世界通貨対体制までの過渡期の不安定状況の中で
「人民元国際化」を一定程度進めることが重要との判断があるものとみられる。
(2012年2月17日)
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