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市場介入の方法

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市場介入 市場介入の方法) 

市場介入とは

経済運営を行う上で「適当と考える為替水準」を維持するために、中央銀行が行う為替売買を
市場介入」といいます。

この、『適当と考える為替水準』についての判断を行うのは「通貨当局」であり、
当局の判断に基づいて実際に介入のための為替取引を行うのが「中央銀行」、ということになります。

  • 介入などの為替政策は、日本では「財務省」が担っています。
  • 米国でも「財務省」が為替政策の権限を持ちます。
    (ただし、FRBも別途介入権限を持っており、介入資金は財務省とFRBが負担し、
     実際の介入はニューヨーク連銀が行います)
  • ユーロ圏では欧州中央銀行(ECB)が金融政策・為替政策の権限を持ちます。

ただし、市場介入が常に成功するとは限りません。

外国為替取引市場の取引規模は、1営業日当たりで約「4兆ドル」ありますが、
中央銀行の介入額は、数千万ドルから多くても数百万ドル単位でしかないからです。

介入の正当性や市場動向、タイミングが市場介入を成功させるためには不可欠なのです。

市場介入の方法

為替介入の方法には以下の2つの方法があります。

どちらか一つの方法がとられることもあれば、両方の方法使われることもあります。

①銀行への直取引

市場介入方法のひとつめは、「銀行への直取引」です。

銀行間市場の参加者の銀行に建値を求めてそのレートで取引したり、
指値注文を出して売買します。

日銀によるドル買い介入の例を見て行きましょう。

日本銀行がA銀行から1億ドルを「買う」場合、
A銀行は、1億㌦の売り持ち(ショート)になるため、
すぐに他の銀行(例えばB銀行、C銀行、D銀行など)から1億ドルを買ってショートカバーを行います。
(ドルが上昇すると判断すれば1億ドル以上を買うでしょう)

B銀行、C銀行、D銀行も同様に、ドルのショートポジションをカバーするために
別の銀行からドルを買います。

この連鎖が続くと、市場ではドル買い一色となり、ドルが急騰することになるわけです。

(ただし、市場でドル売りトレンドが強い場合は、
 一時的にドルは上がりますが、すぐに元のレートに戻ってしまいます。)

②ブローカーへの注文

市場介入のもう一つの方法は「ブローカーへの注文」です。

中央銀行が、ブローカーにあるレートで注文するか、ブローカーに注文を出す方法です。

ブローカーにあるレートとは、各銀行があらかじめこのレートで取引したいという額ですので
中央銀行がそのレートで売買を行っても銀行はポジションカバーの必要がありません。

ただし、ブローカーでの情報は、市場に直ちに知られるので
ブローカーでの取引額、値動きが異常なものとなれば、市場参加者は「市場介入」であると判断し、
銀行はこの動きに合わせてドル買いポジションを作るわけです。

単独介入と協調介入

介入には「単独介入」「委託介入」「協調介入」の3つのパターンがあります。

単独介入

単独介入とは、一つの国だけで市場介入を行うものです。

例えば、日本銀行だけが「ドル買い円売り介入」を行う場合です。

委託介入

通常日銀は、東京市場で介入しますが、海外市場で介入する場合もあります。

海外市場で介入する場合、日銀が直接介入する場合もありますが
その国の中央銀行に介入を委託する場合もあります。

例えばニューヨーク市場で介入する場合に、ニューヨーク連銀に実際の介入を行ってもらう
ということであり、これを「委託介入」といいます。

(この場合のニューヨーク連銀の介入は、日銀の代理ということであり、
 当然介入資金は日銀が提供します。)
(日銀にあるニューヨーク連銀の円勘定に円が入金されます。)

協調介入

複数の中央銀行が協力して市場介入することを「協調介入」といいます。

市場に対して最も大きな影響力をもつのが協調介入です。


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