債券価格と金利
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債券価格と金利
金利が上昇すると債券権価格が下落するのはなぜ?
「債券価格」と「金利」の関係について考えてみたいと思います。
金利が上昇すると、なぜ債券価格が下落するのか?ということです。
ちょっと考えると不思議な感じがしますよね。
債券は通常、元本も利息分も確定していて保証されているわけですから
金利が上がろうが下がろうが関係ないようにも思えます。
これは、「普通預金をする場合」と、国債などの「債券に投資する場合」
の関係を考えてみるとよくわかります。
「普通預金」と「債券」の違いは、
普通預金:預金金利は、市場金利に連動する。(変動金利)
債券 : 債券利率はあらかじめ決められている。 (固定金利)
というところにあります。
つまり、普通預金の利息は、毎日の市場金利の上下動に応じて変化するのに対して
債券の利息は、金利が上昇しようが下がろうが関係なく、前もって「決まっている」ということです。
そして、預金利率は、債券利率に比べて低く設定されます。
金利が上昇して行くと、どうなる?
では、Aさんが、高い利率に魅力を感じて債券を購入したとしましょう。
そして債券購入後に「金利が上昇」したとします。
Aさんは、普通預金利率が上昇しているのを見て、「債券を買って失敗したかな?」と考え始めるでしょう。
(債券の利率は変わらないのですから)
さらに市場金利が上がり、普通預金利率が債券利率を超えてしまったら?
そして今後も金利上昇する見通しだとしたら?
Aさんは、債券投資が失敗だったとはっきり悟り、「早く売ってしまわないと損が広がる」
と考えるでしょう。
そして実際に債券を売りに出すとします。
債券市場ではAさんと同じように考えて売りに出す人であふれていますが
債券の魅力が失われている中でわざわざ買おうという人は少数です。
(これから金利が下がると考える人に限られます)
よって、Aさんが100円で債権を購入したにしても
99円、98円・・・と値下げしなければ売れません。
(需給関係で債券の価格が決まります。)
そしてさらに金利が上昇に上昇を重ねれば、市場は債券の売り手であふれ
買い手はほとんどいない状況になり、債券暴落ということになります。
金利が下がったら?
金利が下がる状況下では、上記と逆のことが起きます。
預金利率が下がって行く中で、債券の利率は固定されているのですから
高い利息が保証される債券の魅力は高まります。
市場には債券を買いたいという人が増えますが
Aさんにしてみれば、買った時よりも高い価格でなければ債券を売る気にはならないでしょう。
よって、金利が下がると、債券価格は上がる、ということになるわけです。
市場が価格を瞬時に決める
金融市場では、割高なものを売って割安なものを買うことにより利益を出そうとする取引が活発に行われています。(裁定取引)
金利が上がれば、債券価格を下げて利回りをよくすることで債券の魅力を上げなければ
買い手はつかないということになるわけですが、
市場ではわずかな金利の動きをとらえて価格は瞬時に形成されるのです。
ちなみに、債券の利回りは以下の公式で計算します。
たとえば、額面価格100円、償還までの期間(保有期間)5年、表面利率3% の場合、
購入価格が95円なら
購入価格が90円なら
となります。
債券価格(購入価格)が下がれば、利回りは上がるということです。
逆に、購入価格が105円に上がったなら
となり、利回りが下がることがわかります。
つまり、「金利」と「債券価格・利回り」の関係は
・金利が「上がる」 ⇒ 債券価格は下がる・利回りは上がる
・金利が「下がる」 ⇒ 債券価格は上がる・利回りは下がる
ということになります。
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