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外国為替市場の参加者

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外国為替市場のメインプレーヤーは? 

外為市場の参加者

外国為替市場における為替レートは、どのような力で決まっているのでしょうか?

もちろん、米国の重要な経済指標の数値やFRB議長などの発言が
市場に大きな影響を与えることは多々あります。

ただし、こうした数値や要人の発言を解釈し、先を読み、実際に売買を行うのは市場参加者です。

為替レートは、実際の市場での売買(需給)によって決まるわけです。

ですから、外為市場の参加者について把握しておくことが
市場動向を読む上での前提になります。

外為市場の主な参加者は、
銀行、顧客、中央銀行、ブローカーです。

それぞれについて見て行きましょう。

銀行

銀行は、外為市場において「マーケットメーカー」と「マーケットユーザー」の
2つの面から参加しています。

マーケットメーカーとは、
顧客(一般企業、個人)に対し、レートを建値する者を指します。

為替取引をするには、誰かが為替レートを出さなければ取引そのものが始まりません。

マーケットメーカーは、顧客の、ある通貨の売り又は買いの求めに対して
取引するための値を提起する(建値する)わけです。

この役割を担うには、人材、システム、リスク管理などのコストがかかるため
全ての銀行がマーケットメーカーとなるわけではなく、
コストに応じたメリットが採れると考える銀行のみが行います。

とくに東京市場においては顧客の売買情報が市場を左右する割合が大きいため、
有力銀行はマーケットメーカーとして積極的であり、
自動取引モデルを使った電子取引の推進によって市場シェアを独占する傾向にあります。

また、銀行は、自ら差益を狙ってポジションを取りに行きます。(マーケットユーザー)

この場合の取引の大半は極めて短期の売買であり、
買えばすぐ次の局面で売り、売ればすぐ次の局面で買い戻し、
を繰り返します。

顧客

顧客は、千差万別です。

輸出業者は、外貨売り・自国通貨買いを行い、
石油会社などは、自国通貨売り・ドル買いで原油の輸入をします。

こうした商業取引に伴う為替取引は、基本的に反対売買をしない
売ったら売りっぱなし、買ったら買いっぱなしの取引であり、
為替レートの方向性に影響を与えます。

一方、ヘッジファンドや一部の投資銀行は
非常に大きな額でのポジションによって投機を行い、
生命保険会社、年金基金などの機関投資家は、
外国債券・外国株の投資に伴う為替売買を行います。

また、最近ではCTA(商品取引顧問業者)などの様々なファンドが
為替市場の顧客として重要度を増しています。

FXを行う個人投資家も顧客に分類されます。

中央銀行

中央銀行は、急激な為替変動を抑制するため、または一定の変動幅を守るために
為替の売買を行います。

これを「介入」と呼びます。

ただし、アジアの中央銀行の一部にみられる為替差益を求めて行う取引は
中央銀行による投機であり、介入ではありません。

ブローカー

銀行間市場で取引を仲介する業者をブローカーといいます。

ブローカーは、銀行からの売買注文を集めて結びつけるだけであり、
自らポジションを持つことはありません。

外為取引おける電子化の流れの中で、ブローカーは減少傾向にあります。

メインプレーヤーはだれか?

では、こうした参加者の中で最も影響力の大きいメインプレーヤーは誰でしょうか?

つまり、市場参加者の多くがその動向を注目し、影響を与えるのは誰?という話です。

例えば、1980年代の日本の生命保険会社は、売買額の大きさから注目されていましたし、
投機を行うアジアの中央銀行が注目されたりもしました。

特に1990年代からは、ヘッジファンドでしょう。

1992年の欧州通貨危機において、
ジョージソロス率いるクォンタムファンドが、
ERMという当時の欧州通貨システムの不備を見抜き、ポンド売り浴びせを強力に行い、
他のヘッジファンドや銀行ディーラーの追随を呼び込み、
イングランド銀行(英国の中央銀行)の防衛策を打ち破ったことは大きな衝撃を与えました。

これ以降、ヘッジファンドが主役とみなされるようになったわけです。

ヘッジファンドは、投資家らの資金を集め、何倍ものレバレッジをかけ、
デリバティブなどを駆使して巨額を動かします。

2008年の世界金融危機においても市場のかく乱要因となり、存在感を示しています。

ただし、今後は、
ヘッジファンドの後ろ盾であった欧米の投資銀行が金融危機で深手を負ったため
これまでと同様とはいかないでしょう。

では、今後のメインプレーヤーは誰になるのでしょうか?

FRB、ECB(欧州中央銀行)、日銀などの日米欧の中央銀行でしょう。

それは為替介入などの従来的方法ではなく、
国債などの債券を必要なだけ買い入れ、資金を市場に供給し、金利を引き下げるという形で
為替市場にも強力な流れを生み出すものとなります。

なりふり構わぬ行動を厭わなくった中央銀行に逆らうことは困難です。

そしてこれは、極めていびつな金融状況を反映したものです。

かつてのヘッジファンドは、この「ゆがみ」をついて中央銀行をむこうに回したわけですが
もはや個々のヘッジファンドにその力はなく、
日米欧の中央銀行の異常行動に「当面の期間は」だれも逆らえないでしょう。

私たちはこれが今後なにをもたらし、市場はどのように動くのか、注意する必要があります。

そして、この「ゆがみ」が限界を超えたときには
ヘッジファンドを含めた市場の力は一気に状況を変化させるということを見ておかなければなりません。



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