経済危機/日本と世界

ヘッジファンド

金融危機 経済破綻 世界・日本 > 金融危機? > ヘッジファンド

文字サイズ:

ヘッジファンド

ヘッジファンドとは

ヘッジファンドとは、
少数の富裕層からの大口資金を「私募形式」で集め、
さらに金融機関からの借入金によってレバレッジをかけて膨らませて
株式、債券、為替、コモディティーなど様々な市場に投資を行い、
金融派生商品(先物、スワップ、オプションなどデリバティブ)を駆使して
相場の上昇下降にかかわらず「絶対利益」を追求する投資法人のこといいいます。

*レバレッジとは「てこ」を意味する。
 つまり、小さな資金を基にして、大きな資産を運用する投資手法のこと。

ヘッジファンドの資産規模・運用規模は年々増加しており、
デリバティブなどを通じて金融システムの一部を形成するまでになっています。

金融・経済の分析や相場の先を読むにあたって
ヘッジファンドの解析は不可欠となっているのです。

ヘッジファンドの始まり

ヘッジファンドの始まりは、
1949年にコロンビア大学の博士であったアルフレッド・ジョーンズが始めた
富裕層向けファンドであったとされます。

このファンドの既存ファンドとの違いは、
株式市場において「売り持ち」「買い持ち」を組み合わせることで
市場の下落局面でも損失を回避し、利益を出して行く手法を用いたこと。

つまり、「ロング」(買い持ち)と「ショート」(売り持ち)を併用することでリスクをヘッジし、
相場の上下双方で利益をあげて行く投資スタイルを取ったわけです。

「株を買って、保有し、株価が上がれば売って利益を得る」という従来の投資方法と全く違う
新たな投資方法の登場がヘッジファンドの始まり、というわけです。

ソロスのヘッジファンドと金融危機

ヘッジファンドが世界の注目を集めることになったのは
1992年の「ポンド危機」(ブラックウェンズデー、ERM危機)においてです。

ERM(欧州為替相場メカニズム)という為替相場固定化システムによって
実態よりも高い相場を維持していたポンドに対して
ジョージ・ソロス率いるヘッジファンドがポンドの売り浴びせを実行し、
買い支えに入った中央銀行・イングランド銀行(BOE)を打ち負かしたという前代未聞の金融危機です。

ソロスファンドは、このポンド売りで10億ドルの巨利をあげたとされています。

ソロスは1997年にもタイ・バーツの売り浴びせを行い、
これがきっかけとなってアジア通貨危機が発生しています。

ただし、ここで注意しなければならないのは
ソロスは、何もないところで相場を張って金融危機を引き起こしたわけではなく、
相場の「ゆがみ」をいち早く見抜き、
いわば、歪んだ相場を「自然な状態に」引き戻す流れをつくる攻撃的投資を行った
と評価すべきだ、ということです。

つまりソロスファンドは
金融危機・通貨危機の発生を早め、危機の深度を増幅させた、ということはできるのですが
金融危機をつくりだしたわけではない、のです。

サブプライム問題とヘッジファンド

ポンドの下落を先読みし、いち早く、膨大な資金で「空売り」を敢行して利益を得る
というソロスが行った投資戦略を「グローバル・マクロ」といいます。

ただし、このグローバル・マクロは2000年代に入ると次第に先細りになります。

コンピュータシステムの高度化などで、相場の大きなゆがみが長期間放置されることがなくなり
この戦略が威力を発揮する状況がなくなっていったからです。

そして、その裏側で進行するのが金融派生商品(デリバティブ)の高度化・複雑化であり、
ヘッジファンドはこれをさらに駆使する形で分化し、肥大化を続けます。

ヘッジファンドとデリバティブの肥大化は
新たな形の金融危機を形成して行くことになります。

「サブプライム危機」です。

サブプライム問題とは従来型の住宅バブルの発生と崩壊、ではありません。

住宅ローンの債権を証券化したモーゲージ担保証券(SBM、住宅ローン担保証券)、
この住宅ローン債権を切り刻み、他の種類の債権と混ぜ合わせてつくられた「CDO」というデリバティブ、
このCDOが紙くずとなった時に保障する「CDS」、
さらにCDSをもとにして蘇生された「合成CDO」・・・。

従来の住宅ローンを貸し付けなら
住宅ローンが貸し倒れになった場合、当然、貸し付けた銀行がリスクを負うわけです。

しかし、債権を「証券化」して、他人に売ってしまえばどうでしょう?

その時点で銀行は、貸し倒れリスクから解放されます。

この証券を買った者も、CDSを買えば、証券が紙くずになってもちゃんと保障を受けれます。

このCDSも、さらに合成化されて他者に売られています。

リスクは誰が取るのでしょうか?

こうして誰もがリスクから解放されたかのような幻想のもとで
本来なら「返済能力なし」と評価されて住宅ローンを組むことができない「サブプライム層」
と呼ばれた人々にどんどん貸付が行われていったわけです。

そしてCDOやCDSなどを積極的に売買していたのがヘッジファンドでした。

powered by Quick Homepage Maker 5.1
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional