FRB
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FRB(連邦準備制度理事会)
世界経済に大きな影響を及ぼすFRB
FRB (Federal Reserve Board)。
米国の中央銀行は「FRB」といい、「連邦準備制度理事会」と訳されています。
(ただし、米国では通常、「 Fed 」(フェッド)と呼んでいます。)
FRBの設立は、1913年。
世界初の中央銀行であるスウェーデンの国立銀行・リスクバンクの設立1668年、
日本銀行の設立1882年、
に比べると、米国の中央銀行制度の歴史は浅いと言えます。
米国は、「強い権力を持つ地方政府」で構成される「連邦制」の国家であり、
金融政策を統一する中央銀行設立には、長く反発がありました。
経済恐慌などを何度も経験する中で中央銀行の必要性が認識され、FRBという形で発足したのですが、
現在では、そのトップであるFRB議長は、米大統領に次ぐ力を持つと言われていいて
FRBは世界経済に極めて大きな影響を及ぼします。
FRBは定員7名の理事で構成されており、理事の中から議長・副議長を1名づつ選出します。
理事の任期は14年(2年おきに1名が交替する)、議長・副議長の任期は4年で
大統領が任命し、上院の承認を経て正式に就任することとなります。
現在のFRB議長は、ベン・バーナンキ議長です。(2006年~)
FRS(連邦準備制度)
米国の中央銀行制度は、FRS(連邦準備制度)であり、
FRBは、これを統括する中枢組織にあたります。
米国の中央銀行システム=連邦準備制度(FRS) | |
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中枢組織 | FRB (連邦準備制度理事会) |
実務を担う | 12の地区連銀(地区連邦準備銀行) ①ボストン、②ニューヨーク、③フィラデルフィア、④クリーブランド ⑤リッチモンド、⑥アトランタ、⑦シカゴ、⑧セントルイス、 ⑨ミネアポリス、⑩カンザスシティー、⑪ダラス、⑫サンフランシスコ |
民間の銀行は、所轄地区連銀に準備預金を積み立てる義務を負い、そこから借り入れを受ける権利を有します。
つまり、全ての民間銀行は実質的に地区連銀の管轄下に置かれ、
地区連銀の検査・監督を受けることになります。
FFレートとFOMC
FFレート
米国の主要政策金利は、「FFレート」(フェデラルファンドレート)です。
連邦準備制度(FRS)に加盟する民間銀行は、一定割合を地区連銀に預金することが義務付けられています。
この預金が不足したり余ったりした場合に、民間銀行がお互いに資金融通をします。
この資金取引市場を「フェデラルファンド市場」、
ここで成立する金利を「フェデラルファンドレート」(FFレート)といいます。
FOMC(連邦公開市場委員会)
そして、FFレートの誘導水準を決定するのが「FOMC(連邦公開市場委員会)」です。
FOMC(連邦公開市場委員会)は、最高意思決定機関\で、
「FRB理事」7名と「地区連銀総裁」5名、計12名が参加。
- FOMCの議長はFRB議長が務め、副議長はニューヨーク地区連銀総裁が務めます。
- ニューヨーク地区連銀総裁は、常にFOMCに参加する。
- 地区連銀総裁の参加は、ニューヨーク地区連銀を除く11名から1年交代の輪番で4名が選ばれる。
FOMCの決定に従って、ニューヨーク連銀がフェデラルファンド市場に介入して
FFレートを誘導するわけです。
物価安定と最大雇用
FRBの任務は、「物価安定」と「最大雇用」の2つの実現です。
他の多くの中央銀行の場合、「物価安定」のみが法律で規定されているのに対して
FRBは「最大雇用」が任務として加えられているところに大きな特徴があります。
つまり、FRBは、
金融政策を通じて、景気の維持・回復による「最大雇用を実現」しなければならない、ということです。
(世界の市場関係者が、米国の雇用統計を非常に注視するのはそのためです。)
また、FRBは、金融機関に対する資金の貸し出しのほか、
連邦準備法13条に基づいて、証券会社や個人に対しても資金を貸し出すことができます。(緊急貸出)
このように様々な権限を有するFRBは、
世界金融危機において量的緩和政策を取り、
MBS(住宅ローン担保証券)を1兆2500万ドル(約112兆円)規模で買い入れるなど
異例の金融緩和策を続けています。
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