コール市場
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コール市場
コール市場は、
金融機関(銀行など)同士で1年以下の短期資金を融通し合うインターバンク市場の中心をなす金融市場です。
参加者は、
都市銀行、地方銀行、外国銀行、証券会社、生損保会社、政府系金融機関と日銀、短資会社など。
(「オープン市場」とは異なり、企業や地方公共団体などは参加できません。)
「コール」とは、「呼べばすぐに戻ってくるほどの短期の融資」という意味です。
コール市場の歴史は古く、1901年の金融恐慌の経験に基づき
1902年に支払準備金の必要性が認識され、金融機関相互の資金調整の場として自然発生的に形成されました。
銀行などの金融機関は、預金の受け払いや貸出し、国債・株・為替の売買などを行っており、
常に資金ポジションを調整する必要があります。
コール市場は、銀行等の日々の資金の過不足を調整する場として活用されているのです。
コール市場の取引には
・日中コール取引 …借りた当日に返済する
・オーバーナイト物(翌日物) …借りた翌日に返済する
・1年物 …借りた1年後にに返済する
など様々なものがあり、1年後の応答日以内の取引ならどの日でも取引可能。
(コール市場の中心は、「翌日物」です。)
無担保コール取引では、最低取引単位が「5億円以上の1億円単位」ですが
実際は50億円、100億円単位での取引が主流です。
日銀は、コール市場に資金介入して金融調節を行う
日銀の金融政策は現在、公開市場操作(オペレーション)によって行われています。
これは、日銀がコール市場に資金介入(資金吸収と資金供給)し、
「無担保コール翌日物」金利を、日銀の目標金利に誘導するという方法。
(つまり、日銀の現在の政策金利は「無担保コール翌日物金利」です。)
「無担保コール市場」と「有担保コール市場」
コール市場の取引は、
担保の有無によって「無担保コール市場」と「有担保コール市場」に分かれます。
1902年に日本でコール市場が創設された時点では「無担保コール市場」として始まったのですが
1927年の金融恐慌の影響により「有担保コール」が主流となりました。
しかし、短期金融市場の自由化・国際化の流れの中でユーロ円などの無担保取引が活発化し
1985年に無担保コール市場が再び創設され、
現在では、無担保コールが有担保コールを上回る規模になっています。
無担保コール市場
無担保コール取引の法的性格は「無担保の金銭消費貸借」であり、
資金の出し手は、直接のクレジットリスクを負うことになります。
取引期間によって以下などがあります。
●オーバーナイト物(翌日物)
…資金の賃借が1日。「翌日物」または「O/N物」と表示される。
●オープンエンド物
…オーバーナイト物をロールオーバー(繰り返し)することで返済美を確定しないもの。
(当事者の一方が取引決済通知をおこうことで決済日を指定できる)
●ターム物
…一定期間(1年以内)、資金の賃借を行うもの。
短資会社が、資金の出し手・取り手の双方からのオーダー提示を受け、
双方の条件合致により、約定を成立させる方式(オファービッド制)。
条件が合致した段階で、短資会社は、取り手の金融機関名を出し手に通知。
出し手が与信枠確認できれば約定成立なり、出し手の金融機関名を取り手に開示する。
有担保コール市場
有担保コールは、担保を必要とする資金の貸借取引です。
担保となるのは原則、「日銀適格借入担保」とそれに準ずる担保です。
日銀適格担保
…日銀から借り入れる場合の担保として日銀が指定した物
国債、地方債、財投機関債、適格社債、資産担保証券、企業振り出しの手形、CPなどです。
有担保コールの取引手法として、「ディーリング方式」と「ブローキング方式」があります。
●ディーリング方式
…「短資会社」が介在して取引を行う方式
資金の取り手は、短資会社に担保を差し入れ、
短資会社から資金の取り手へ担保が差し入れられる。
(短資会社が、自己勘定で資金を取り入れ、短資会社のリスクにおいて貸しつける)●ブローキング方式
…担保を、資金の取り手から出し手へ、直接差し入れる。
(短資会社は、取引の仲介を行うのみ)
ただし、これらには取引の度に担保の搬送、受け渡し、管理等が発生する煩雑さがあるため
1995年に「短資担保取引センター」が設置され
担保品をあらかじめ集中して保管し、帳簿上の振替によって担保品移転を行うようになっています。
(センターの担保品は、日銀の金庫に保管する)