長期金融市場
&金融危機 経済破綻 世界・日本 > 金融入門 > 金融市場とは > 長期金融市場
長期金融市場
「1年超」の取引が行われる金融市場を「長期金融市場」といいます。(資本市場)
その中心は、債券を取引する「債券市場」であり、
長期金融市場=債券市場、と考えても間違えではないでしょう。
では、債券市場について見て行きましょう。
発行市場と流通市場
債券市場は、「発行市場」と「流通市場」の2つがあります。
●発行市場
…国や企業などの発行体が、新たに債券を発行して資金調達する市場。
(新たに発行された債券を「新発債」という)●流通市場
…既に発行された債権を売買する市場。
(既に発行されている債権を「既発債」という)
発行体別の債券分類
また、発行体別に債券を分類すると以下の7つになります。
★国債、地方債 …地方債は、都道府県および政令指定都市(政令で指定された人口50万人以上の市)
★政府保証債
…政府が、元本と利息の支払いを保証している債券。
(日本政策金融公庫、預金保険機構など独立行政法人や政府関係機関が発行)
★財投機関債 …独立行政法人や政府関係機関が発行するが、政府保証のないもの。
★サムライ債
…海外の発行体が、日本で円建て発行するもの。(外国企業が日本で資金調達する際に発行する)
★社債 …民間企業が発行する社債を「一般事業債」、銀行が発行する社債を「銀行債」
★金融債 …特定の金融機関だけが発行できる債券
★資産担保証券(ABS)
…金融機関が保有するローンなどの債権を裏付け資産(債券の価値を裏付けするもの)にして
金融機関が発行する債券。
…住宅ローンを担保にしている資産担保証券が「RMBS」
…商業用不動産を担保にしている資産担保証券が「CMBS」
国債について
上記7つの債権のうち、発行量・流通量がけた違いに多く、債券取引の中心となっているのが国債です。
国債発行残高は年々増加し、すでに800兆円を超えています。
国債は、償還までの期間の長さによって以下の4つに分類されます。
「超長期国債」
…15年(変動利付債)、20年(利付債)、30年(利付債)、40年(利付債)
「長期債」
…10年(利付債)、10年(物価連動債)、10年(個人向け国債・変動金利型)
「中期国債」
…2年(利付債)、3年(個人向け国債、固定金利型)
5年(利付債)、5年(個人向け国債、固定金利型)
「国庫短期証券」(TDB)
…2か月(割引債)、3か月(割引債)、6か月(割引債)、1年(割引債)
債券の利子(クーポン)の仕組みは以下のようになります。
・利付債 …利子が付いている債権
・変動利付債 …半年ごとに利率が見直される債権
・割引債(ゼロクーポン債)
…利子を付けないかわりに、販売価格が額面価格より安い債権
・物価連動債 …物価上昇率に応じて元本・利子が増減する債券
(物価が上昇⇒元本・利子も増える)
長期金利の指標
長期金利は、日本経済に広い影響を及ぼす重要な金利です。
長期金利の動向は、
社債などの発行条件、銀行の長期貸出金利(長期プライムレート)、住宅ローン金利など
様々な金利に影響を及ぼします。
そして、長期金利の指標となるのは、直近の「新発10年物国債」の利回りです。
(償還期間10年の新たに発行された国債で、発行時期が最も新しいものの利回り)
また、一般に「長期金利」と新聞などで書く場合、それは「新発10年物国債の流通利回り」を指しています。
( 流通利回りとは、既に発行されている債権を購入し、満期まで保有した場合の1年当たりの利回り)
(「新発10年物国債の流通利回り」は、日経新聞のマーケット総合蘭「債券市場」に掲載されています)