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長期金利2013/5/23

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長期金利、一時1%へ上昇

(2013年5月23日)

FRB議長と日銀総裁の、それぞれの発言

2013年5月23日は、日経平均株価が1143円安の暴落、円は103円台から101円台へ反騰、
そして債券市場は乱高下して一時1%まで急上昇するなど大荒れの1日となった。

これらはすべて連動した動きだが、ここでは長期金利について見て行きたい。

長期金利上昇の要因は、日米の中央銀行の議長、総裁の発言を契機にしている。
(この2人の発言は、この日の日米の株価下落の要因にもなった)

つまり、今や世界経済を動かす巨大プレーヤーと化してしまったFRBと日銀の責任者の言動は
市場に計り知れないインパクトをもたらすということである。

まず、FRBバーナンキ議長の22日の議会証言。

質疑応答において
「今後数回の米連邦公開市場委員会(FOMC)で(米国債の購入額を)減額する可能性がある」
とバーナンキ議長が発言。

これで量的緩和の長期化の期待が一気に後退し、
1.8%まで低下していた米長期金利は上昇に転じ、2%を突破した。
(この日、米10年物国債利回りは2.04%で取引を終えた)

そして同じ22日の日銀・黒田総裁の記者会見。

5月に入り急上昇している長期金利についての具体的対応策を示すことができず、
「これ以上、急激に跳ね上がるとは予想していない」
「(長期金利は)短期金利のようにコントロールできない」
などの発言を行うに及んで
「日銀は有効な対応策をもっていない」、つまり、「日銀にコントロール能力がない」
との見方が浮上し、国債リスクが逆に強く意識される結果となった。(⇒5/22、日銀総裁の記者会見

はからずも2人が同じ日に、市場にインパクト持つ発言をしたわけだが、
両者の発言が持っている意味は全く違う。

前者が、緩和策の出口戦略を模索する上での「市場との対話」の延長上の発言であるのに対し、
後者は、日銀自体の緩和策から生じた問題に、日銀が何の策も持ち合わせていないことへの失望
をもたらしたものということになる。

黒田発言は、「異次元緩和」などと称して華々しく打ち上げられた新政策が
こんなにも早く、深刻な問題に直面していることを自ら明らかにしてしまったものであり、
市場への今後の影響は極めて大きい。

サーキットブレーカーの発動

この発言を受けた23日。

長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは一時1%ちょうどまで上昇。

債券先物は「値幅制限の前日比1円」を超え、サーキットブレーカーが発動された。

日銀は急きょ資金供給の実施を発表したが、
長期金利を下げたのは、株価の1143円もの暴落という異常状況の発生であった。

円安、金利安、日銀の潤沢な異次元の資金供給を背景に、株価は上昇を続けてきたわけだが
今後はかなり荒れた展開が予想される。

なにせ、異次元緩和というものが、日銀コントロールの効かない代物であることが露呈したのだから。

円安だけは、今後も続いて行くだろうが
株価や金利については先行き大きな変動を繰り返すことになりそうだ。

慎重な対応が必要な状況となった。

(2013年5月23日)


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