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生保、外債投資へシフト

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生保、外債投資へシフト


《ポイント》

  • 生命保険各社が、「日本国債」から「外国債券」へシフトし始めた。
  • これは、日銀の異次元緩和により、国債の利回りが低下し「逆ザヤ」に陥る可能性が出てきたため。
  • 生保の1%の資金シフトは、3兆円規模のインパクトを持つ。
  • 生保の資金シフトは、南欧諸国などの国債利回りの低下をもたらして始めている。
  • つまり、日銀の新緩和策が、「世界の債権バブル」をもたらそうとしている。

異次元緩和で、日本国債⇒外国債券へ

日本の生命保険各社は、日銀の「異次元緩和」を受け、
日本国債投資から外国債券投資にシフトチェンジしようとしている。

黒田東彦日銀総裁の異次元緩和方針を受け、4月5日、長期金利は一時0.315%まで低下した。

この状況を見て、主要生命保険会社の運用担当は国債購入を停止し、
2013年度も計画していた「国債の積み増し」を見直す作業に入った。

国内生保43社は、資産の44%を国債で運用している。

株価低迷や超低金利といった運用環境の中、
20年債、30年債といった超長期国債はこれまで、比較的安定した利回りを確保できたことがその理由。

だが日銀の異次元緩和を受け、新発20年物国債の利回りは、1.4%から一時1%前後まで急低下し、
運用利回りの縮小、売却損の危険性が高まった。

生保の運用資産(2013年)

このまま国債中心の運用を続ければ、契約者に約束している予定利率を下回る「逆ザヤ」が発生する。

「このまま日本国債を買い続けることはできない。」

これまで、膨張する国債発行を買い支えてきた生保が、
日銀の新たな緩和策により大転換の時を迎えようとしているのである。

300兆円を超える総資産を持つ日本の生保の運用シフトチェンジは市場に大きな影響を与えることになる。

金融市場に与えるインパクト

生命保険会社の新たな投資先と目されているのが「外国債券投資」。

日本国債よりも高い利回りに加え、円安による為替差益も期待できる状況になった。

1月末時点での生保の外国証券の運用残高は約51兆円と、前年同月比で13%増加しているが、
今後はさらに購入額を積み増す見通し。

莫大な運用資産をもつ生保の動きは、欧州市場などで、すでに影響をもたらしている。

フランス、ベルギー、オランダなど国債利回りは
日銀の異次元緩和方針後に急低下し、軒並み史上最低を記録した。

多額の債務を抱えるイタリアやスペインの国債利回りも低下し、
ポーランド、トルコ、ブラジルなどの新興国でも金利低下が起っている。

生保が資産の1%を外債に振り向けただけで3兆円の資金規模となり、
規模の小さい欧州市場を揺るがす存在となる。

さらに、日本の生保の動きを見越したヘッジファンドが「先回り買い」をおこなっていることも
この状況に拍車をかける。

米国債にも影響が波及する。

ある米大手金融機関は
「日本の生損保、年金が資産の5%を振り向ければ、
 1000億ドル(約10兆円)の米国債への需要が発生する」
というレポートを出した。

生保の「外債シフト」は、
円安を加速させ、世界各国の金融市場に大きな影響を与えようとしている。

(2013年4月10日)


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