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日銀の金融緩和、100兆円超へ

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日銀の金融緩和、100兆円超へ 

(2012年12月21日)

日銀、「物価目標」を導入

日銀が「物価上昇目標」を導入する方向を明確にした。

白川日銀総裁は、2013年1月の「定期会合で結論を出す」と表明し
安倍自民党政権と結ぶ政策協定に具体的な物価目標を盛り込む意向だ。
(物価上昇率は「2%」を視野にいれている。)

日銀は2012年2月に「中長期の物価安定のめど」という表現で事実上の物価目標を表明していたが
12月の衆院選挙において安倍総裁は、「めどは、日銀の責任を伴わない」と批判し、
2%程度を明確な目標として政策協定を政府と結ぶよう求めていた。

物価目標の導入の理由を記者会見で問われた白川総裁は
「安倍首相からの要請を踏まえた」と、新政権の意思に従ったことを明かした。

国債買い入れ基金を10兆円増額

具体的には、日銀の「国債買い入れ基金」を10兆円増額し、金融緩和規模を101兆円とする。

これにより、国が新規発行する額を上回る年58兆円程度の国債を
日銀が市場を通じて買い入れることになる。

これは、事実上の「日銀による財政ファイナンス」といえる。

しかし白川総裁は「財政ファイナンスを目的とした買い入れは決してしない」と強調。

白川総裁がわざわざこう強調するのは、日銀が財政ファイナンスを政策目的に加えた、と市場がみなせば
日本国債の安全性に疑義が生じ、金利が上昇し、日本の財政・経済パンクする事態に突入するからだ。

金融機関への「貸出し増加支援制度」の本当の狙い

日銀はさらに
民間への融資を増やした銀行へに、無制限で資金を供給する新たな制度の創設を発表した。

これは、金融機関が民間への融資を増やせば増やすほど日銀から低利で資金を得られる仕組みであり
「年0.1%」で最長4年まで借り換え可能、供給総額は「無制限」というもの。

ではこの新制度の目的は何か?

日銀は長らく事実上のゼロ金利政策をとってきたが
企業の設備投資は落ち込み、資金需要はなく、実体経済にマネーが回ることはなかった。

銀行に新制度をつかった需要の掘り起こしを期待しているという見方もできるが事実は違う。

白川総裁自身が
「邦銀の国内融資の伸び率は1%程度だが、海外向けは2割も伸びている」
と述べたように、
新制度むしろ「海外融資を支援する」ことを意識したものだ。

「無制限、低金利」の新制度を使って日銀から得た円を売り、ドルなどの外貨を買えば
円高是正の効果が生まれ、
米国が要請する「米国債買い支え」にも寄与する。

外資系金融機関を通じてヘッジファンドなどに資金が流れ、「円キャリートレード」が活発化すれば
世界の株価上昇や金利低下にも一定の寄与をする可能性もある。

つまり、この新制度によるマネー供給も、国債買い入れ枠増額も、実体経済を上向かせるものではなく、
いわば破綻に向かう世界各国の財政・金融機関を延命される点滴の効果を狙ったものにすぎない。

そしてこの点滴は、後に強烈な副作用をもたらすことを忘れてはならないだろう。

(2012年12月21日)


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