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日銀頼みの国債発行

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日銀に依存する国債発行 

(2013年1月31日)

国債発行は「日銀への依存」を強めている。

2013年度の国債発行額は当初予算としては5年ぶりの減額となった。

過去に発行した国債の借り換えのために発行する「借換債」は
市場関係者の多くが予想した120兆円前後を大きく下回る112兆円であった。

しかし、その中身を見ると「国債発行の日銀頼み」構造が鮮明に浮かび上がる。

2013年度の国債発行計画
-発行額前年度比(兆円)
新規国債42.9兆円▲1.4
年金特例国債2.6兆円2.6
復興債1.9兆円▲0.8
財投債11.0兆円▲4.0
借換債112.2兆円▲0.1
発行総額170.5兆円▲3.7


国債整理基金の取り崩し

借換債が当初予測より少なかった「からくり」は「国債整理基金の取り崩し」にある。

国債整理基金は、
大規模な災害やシステム障害などで国債を発行することができない事態に備えるためのもので
資金量は10兆2000億円あった。

ここから7兆2000億円を取り崩して国債償還に充てたのである。

これで借換債発行を抑制したわけだが
国債整理基金は3兆円しか残らなくなり、国債入札1回分で消えてしまう心もとない状態となる。

このため財務省は、不測の事態が起った場合に日銀が資金を貸し出す制度を新設し対応する方針だ。

2年債、5年債への傾斜

国債発行計画では2年債、5年債の発行をそれぞれ2兆4000億円増やす一方、
10年債、30年債は1兆2000億円の発行にとどめている。

ここにも「日銀頼み」のからくりがある。

2年債は、日銀が資産買い入れ基金で買い取るため消化に問題は起こらず、
5年債は、買取対象外だが、2年債が品薄になるため金融機関が買いに入る。

つまり、最後は日銀が支えるという計算の下で短い年限を増やしているのである。

演出される国債安全神話

国債発行残高が膨張する中で、安全神話を演出するための綱渡りが始まっている。

日銀頼みの「国債発行額の減額」もそうであり、
保険会社に「国債買い、株売り」を誘導するソルベンシーマージン比率の計算方式変更(2012年3月)もそうである。

今や、日米ともに、中央銀行の金融緩和策だけが
国債暴落、国家破たんを防止する最後の方法となっている。

もはや金融緩和は「やめることができない麻薬」となっている。

(2013年1月31日)


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