公的年金運用、国債依存を見直し
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公的年金運用、国債依存を見直し
(2013年2月25日)
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は運用資金の配分を見直す。
GPIFの三谷隆博理事長は、運用資産の約2/3を占める国内債券について、
「過去10年間は金利低下局面だったので、もうけ頭だった。
しかし、これから金利上昇局面になれば、厳しい環境になる。」
と述べ、
長期金利が上昇したときの影響について「大きい。」と語った。
つまり、GPIFは
「国内債券をリスク資産とみなし、国債などの保有割合の引き下げの検討に入った」
のである。
これが意味するところは極めて大きい。
GPIFは、世界最大の運用機関であり、
これまで日本国債を安全資産として資産構成の6割以上を国内債券で運用し、
この10年にわたりポートフォリオについての基本的な見直しは行われなかった。
国債の主な買い手は、大手銀行、生保、GPIF(公的年金)の3大勢力であるが
大手銀については長期国債を買い控え⇒5年債にシフトするなど金利上昇対応を始める中、
GPIFが今後どのような運用方針を取るかについて市場関係者はかたずをのんで見守っている。
三谷GPIF理事長は、長期金利の先行きについて、
「(日銀の金融緩和によって、当面は)金利は抑制されるだろう。
その後は、物価上昇に沿った金利水準になるのではないか。」
とし、中期的には、0.7%台の低水準は続かないとの見方を示した。
これは、金融緩和によって一定期間は長期金利が抑えられるが
その後、長期金利上昇⇒国債価格下落、のリスクがある、と読んでいるということである。
債券市場では、長期金利の指標となる10年債利回り が昨年12月6日に一時0.685%と2003年6月以来の水準にまで低下。その後上昇に転じて0.84%を付けたが、日銀が実際に金融緩和を強化すると再低下し、足元は0.7%台で推移している。
物価・金利が上昇すればその分、元本・利回りも上昇する仕組みの「物価連動債」も
3年ぶりに計画枠に組み入れている。
三谷理事長は
「来年度に入ったぐらいのタイミングで基本ポートフォリオのチェックをやりたい。」
と述べ、2013年春以降に検証作業開始する予定だ。
(2013年2月25日)
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