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直接金融と間接金融

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直接金融と間接金融 

「間接金融から直接金融へ」といったスローガンを以前目にした人も多いのではないでしょうか?

日本はこれまで「間接金融」中心の金融システムで経済が動いてきたのですが
バブル崩壊以降、様々な弊害が顕在化して行く中で
「直接金融」の比重を高めようという動きがでてきました。

「間接」金融とは、
預金者が預金した資金を、「銀行が」借り手(企業など)に貸し出す金融方式。

「直接」金融とは
国債や株式、社債などを通じて、「資金の出し手」が、政府や企業などの「借り手」に直接資金を出す方式。
(株式などの証券の売買には、証券会社が仲立ちします。)

つまり、
資金の受け手側から見れば、株や社債を発行して資金調達するのが直接金融
銀行から借りるのが間接金融、ということになります。

大きな違いは、リスクを誰が負担するのか?というところにあります。

直接金融の場合は、株や社債を保有している人がリスクを負います。
(もしその会社が破綻した場合、最悪、投資した分はゼロになります。)

間接金融の場合は、金融機関がリスクを負担します。
(貸し倒れによって生じた損失は、金融機関が自己資本で埋め合わせなければなりません。)
(預金者が、特段の負担をすることはありません。)

ですから、間接金融に過度に傾斜した金融システムの場合、
財務基盤が弱いベンチャー企業はお金を借りにくいという問題や
大型倒産などで、ある銀行が自己資本を取り崩したときに、関係のない企業までお金が借りにくくなる
などの問題があるわけです。

リスクを負うことを業とする銀行が、リスクを嫌う状況が生じたときに
金融が機能しなくなり、資金を必要とする企業にリスクが回されるということです。

そこで、資金調達の多様化という観点から
直接金融の強化、が進められてきたのです。

直接金融の伸び悩み、そして信託、証券化

ただし、直接金融は、投資した個人がリスクを負うことになります。

また、証券投資をする場合、
複数の銘柄を購入してリスク分散・収益性確保のポートフォリオを組むことが望ましいのですが
個人でそこまで時間と労力をかけけようとする人はそう多くはありません。
(資金が多くない個人では、そもそも多くの銘柄を購入すること自体が難しいでしょう。)

直接金融を支援する制度を整備しても、なかなか伸びないのはそうした事情があります。

また、規模が小さく知名度も低い中小企業の場合、
株式や社債発行による資金調達は難しい、という側面もあります。

そこで、間接金融と直接金融の性格をあわせもった「投資信託」や「証券化」などの手法が注目され始めました。

投資信託は、
個人が、少額の元手で、多数の銘柄から構成されるポートフォリオを購入することができ、
投資した銘柄個々の値動きや企業業績を追いかけ、運用判断する労力から解放されて
専門の人間に管理を委託することができます。

もちろん元本割れリスクはありますが、
分散投資でリスクは軽減されていて、大きなリターンを得る可能性もあるわけです。

証券化は、
銀行(金融機関)が、企業や個人にお金を貸し出し、
その貸出し債権(元本と金利分を返してもらう権利)を銀行に保有し続けるのではなく、
複数の貸出し債権を集めてポートフォリオとして証券化し、投資家に販売する方法です。

つまり、貸出のリスクを銀行が負わず、
多数の債権を集めることでリスクを分散させて軽減した新たな証券として投資家に売却する、
ということです。

銀行はリスクを負わずに済みますから、貸し渋りが起きにくく、
投資家にとってもリスクが分散された金融商品で一定のリターンを得ることができる
というメリットがあります。

この「貸出し債権の証券化」商品は、今後の伸長が期待されているわけですが、
銀行はリスクを取らず、投資家にもリスクが小さいという幻想の下で
安易な貸し出し増が起り、
金融システム全体にリスクが及ぶ可能性があることも忘れてはなりません。
(米国のサブプライム危機は、貸出債権の証券化によって発生したことを忘れてはならないのです。)



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