欧州諸国の年金改革
欧州諸国の年金改革
フランス、9月に年金改革法案を提出へ
フランス政府は、財政再建に向けて年金改革が避けられないと判断し、
9月に改革法案を提出することを決めました。
内容についてはまだ公表されていませんが
「年金を満額受給する納付期間を、現行41.5年⇒43年へ」
「保険料の引き上げ」
などが検討されている模様です。
2012年のフランスの年金会計は、
GDP比で0.7%に相当する140億ユーロ(約1兆8千億円)の赤字。
これまでフランス政府は財政再建に向けて増税や歳出削減を進め、
2009年の財政赤字GDP比7.6%⇒4.6%(2012年)へと改善しつつありますが
2013年の3%以内という約束の達成は不可能となり、
3%達成時期を、2015年に延期しています。
ただし、2015年達成を実現するためには
2014年に130億ユーロ、2015年には150億ユーロの緊縮予算が必要となり、
仏政府は、年金改革が今後の財政健全化に不可欠との判断をしたわけです。
ただし、国民の反発は強く、
労組側は9月10日に、大規模な抗議デモを行うことを決めました。
国民の負担増や、人生設計、高齢者の生活に直結する年金改革が
今後すんなり議会で可決するかは不透明な状況、と言わざるをえません。
スペイン、ポルトガル、イタリアも年金改革に取り組む
ご存じの通り、フランスだけでなく、スペイン、ポルトガル、イタリアなど多くの欧州諸国が財政問題に苦しんでいます。
財政改革の進展が遅いと市場が判断すれば欧州債務問題が再燃し、
これらの国債を抱え込んだ銀行の危機⇒欧州発の金融危機、に向かう危険があります。
景気の減退(欧州の2013年の成長率はマイナス1.5%の見込み)で税収は落ち込み、
高齢者人口は今後増加し続けます。
EUの多くの国が年金制度に手をつけなければならない状況にあるのです。
各国の年金改革の取り組みを見てみましょう。
スペイン
…26%という失業率により、年金制度を支える人口が過去最低になったスペインは
年金の支給開始年齢を65歳⇒67歳に引き上げることを2011年に決めましたが
さらに追加の対策が必要となっています。
(経済状況に応じて支給額を、年ごとに決定する方式が検討されています)
ポルトガル
…支給開始年齢を65歳⇒66歳に引き上げる案が検討されている。
イタリア
…支給開始年齢を男女ともに65歳⇒66歳に引き上げることが決まった。
(2018年までに実施する)
欧州では、「経済悪化」「財政悪化」「金融危機」が表裏一体の関係にあるため
財政の健全化をしなければ金融危機が再燃し、
財政の健全化のための増税や年金改革が一層景気の足を引っ張る、
という非常に困難な状況にあります。
政治的にも、今後、混乱が続く情勢といえます。
⇒フランス経済
⇒スペイン経済
⇒ポルトガル経済
⇒イタリア経済
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