日本、ウクライナをWTO提訴へ
日本、ウクライナをWTO提訴へ
日本は、ウクライナが輸入自動車に不当に高い関税をかけているとして
世界貿易機関(WTO)に提訴する方針を固めました。
ウクライナは、
今年(2013年)3月に自国の自動車メーカーを保護するために追加課税の発動を決め、4月13日に発効。
これまでの輸入車関税10%に加えて
「1000~1500ccの輸入車に6.46%関税を上乗せ」
「1500~2200ccの輸入車に12.95%関税を上乗せ」
を行うというもの。
日本自動車工業会によると、日本からウクライナへの輸出台数は2012年で約1万台で
この追加課税によって日本メーカーの損失は1年間で17億円程度になるとのこと。
ウクライナは「セーフガード」の要件を満たさない?
関税を引き上げて輸入を制限し、自国産業を守ることについては「セーフガード」といって
WTOが認める正当な貿易ルールです。
ただし、このセーフガードはついては
「輸入の増加と、国内生産者の損害に明確な因果関係があること」
が条件となります。
ウクライナの輸入車台数は、2008年から1/3に減っており、
さらに日本からの輸出台数も2012年はマイナス32%(前年比)であるため、
日本政府は「セーフガードの発動要件を満たしていない」と判断したわけです。
今後日本政府は、近隣諸国に呼びかけて、共同でウクライナを提訴して行く方針。
広がり始めた新興国の保護主義
関税で自国産業を守ろうという動きはウクライナだけではなく
このところ新興国を中心に強まっています。
中国
…日本製の高性能鋼管に対して、反ダンピング課税を適用。(2012年11月)
日本は、欧州連合(EU)とともにWTOに提訴。
インドネシア
…2013年1月から、ニッケル、銅の鉱石の輸出を制限する措置を導入予定。
ブラジル
…輸入自動車への税の30%引き上げを2017年まで継続する。
アルゼンチン
…輸入に、政府の許可を要する品目を、400⇒600に拡大。
経済停滞は、日本や欧州だけでなく、
これまで好調だったBRICsやアジアなどの新興国でも経済減速が顕著になり、
失業率が上昇し、インフレ傾向に陥る国が増え、国民の不満が高まっています。
TPPなどで自由貿易体制をさらに広げて利益を広げたい「先進国の企業」と
経済が減速に向かう中で、自国経済と自国メーカーの守りに入ろうとする「新興国」。
今後、経済危機が世界的に広がる中で、この対立は先鋭化して行きそうです。
安倍内閣が、農業に配慮する姿勢をことさらに演じながら、
実際にはTPP参加を急ごうとする理由もここに一つの理由があるわけです。
⇒ブラジル経済
⇒インドネシア経済
⇒中国経済
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