米銀、純利益が2桁増
米銀、純利益が2桁増
米国の6大金融グループの4-6月期は、
前年同期比で「純利益」が2桁増という好決算となりました。
リストラや不良債権処理が進む一方で、トレーディング部門の好成績が収益を押し上げています。
《6大金融グループの4-6月期決算》
- | 純利益 | 純利益・前年同期比 |
---|---|---|
JPモルガンチェース | 64.9億ドル | +31% |
バンクオブアメリカ | 40.1億ドル | +63% |
シティ・グループ | 41.8億ドル | +42% |
ウェルズ・ファーゴ | 55.2億ドル | +19% |
ゴールドマン・サックス | 19.3億ドル | +101% |
モルガン・スタンレー | 9.8億ドル | +66% |
●バンク・オブ・アメリカ
…1万8千人の正社員削減(昨年6月から)などにより、10億ドルのコスト削減。
●シティ・グループ
…不良資産を集中させているシティ・ホールディングスの損失が37%減少。
外国為替取引で収益増加。
●JPモルガンチェース
…企業・投資銀行部門の利益が、前年同期の6倍に。
●ゴールドマン・サックス
…投資銀行部門の利益が29%増加。
米銀の好調は続くか?
米銀の好調は、リストラ進展に加えて
金融緩和による株高などによりトレーディング業務が好成績をあげていることに要因があります。
つまり、銀行本体がヘッジファンドばりの投機取引によって利益をあげているわけです。
では、今後の見通しはどうでしょうか?
「市場の動揺は大きく、かなり恐ろしいことになる。
これからはFRBの一言一句に耳を傾ける。」(JPモルガンチェース、ダイモンCEO)
バーナンキFRB議長の金融量的緩和「縮小」発言で、米長期金利が1%も急上昇し、
連動する住宅ローン金利も、過去最低水準から上昇しています。
米銀は住宅バブル期からの「含み損」を抱えた融資案件を抱えているため
今後の不動産価格の推移に神経をとがらせています。
また、「中国の金融」状況も暗い影を落とし始めています。
ゴールドマン・サックスは、5月までに中国商工銀行株をすべて売却して
ギリギリのタイミングで難を逃れましたが
中国金融危機の可能性が高まっていることに加え、新興国にも波及する可能性があり、
今後は綱渡りの運用判断が強いられることになるでしょう。