急減する中国の海外M&A
急減する中国の海外M&A
中国経済の変調は、様々なところに現れ始めています。
中国はこれまで資源や食糧を確保するため海外企業を買収する「爆食」路線をとってきました。
「走出去(海外に打って出る)」と称して、
国有企業が中心となり、国家の後ろ盾を背景にして資金を調達し、
海外企業の買収(M&A)を拡大してきたのです。
ところが1~6月の中国企業の海外M&Aは、「マイナス22%」と急減しています。
- 6月以降、大型M&A案件が急減。
- 1~6月の中国企業のM&A額は178億ドル。前年同期比2割減。
「爆食」路線は曲がり角に入った、と言っていいでしょう。
6月の金融混乱で短期金利高騰し、社債発行を延期する企業が増加。
資金力にものをいわせる強硬路線を継続することができなくなりつつあります。
また、これまでの投資においても、失敗例が顕在化するようになっています。
石油メジャーが投資をためらうような政情不安地域への進出が裏目に出始め、
リビアでは、中国が買収した複数の油田が生産中止に追い込まれています。
中国国内からも「走出去」への懸念の声が上がり始めました。
おそらく、M&A縮小は6月だけにとどまらないでしょう。
中国は、不動産・投資バブルをソフトランディングさせるため
金融引き締めを徐々に強めなければならず、
これまで同様の資金調達環境は、もはやよみがえることはありません。
また、このソフトランディングが失敗すれば
中国の金融システムそのものが崩壊してしまうでしょう。
(シャドーキャビネット問題はそれほど根の深いものです。)
これまで中国経済を成功に導いてきたはずの歯車は、きしみ始め、
さらに逆回転を始めようとしています。