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IMFnews2012/3/7

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IMF、邦銀の日本国債保有リスクを調査 

(2012年3月)

IMF(国際通貨基金)が日本の金融機関に対して、
金利が上昇する局面に入った場合、
保有する国債による損失がどれくらい生ずるのかについて
試算を提示するよう要請している。

IMFの要請を受け、3メガ銀はすでに
当調査の窓口である金融庁に試算結果を報告した模様。

調査内容は、2011年9月時点の資産内容を基準にして
長期金利(10年物国債)が2.5%に上昇したときの財務の健全性についての点検。

結果については、2012年夏にも公開される予定。

IMFは、邦銀だけでなく、生命保険会社に対しても調査をするか検討している。

IMF調査は何を意味するか

日銀の白川総裁は、2月23日の衆院予算委員会で
長期金利が1%上昇した場合、国内銀行で6兆3000億円も損失が生ずる、
と明らかにした。

日本の国債発行残高は800兆円に迫り
借入金などを合わせた「国の借金」は、2012年中に1000兆円を突破する。

日銀の歳入構造(H23年度予算)
所得税14兆4900億円
法人税7兆2920億円
消費税10兆1990億円
その他の税8兆4400億円
公債費44兆2980億円
その他7兆1860億円
総額92兆4116億円

これが何を意味するかといえば、
金利が1%上昇すれば、
利払い費が10兆円増加するということ。

税収が40兆円しかない国家財政の中で
もし金利が2%上昇し、利払いが20兆円増加した場合、何が起るか?

消費税は5%で、10兆円の税収しかもたらさない。
消費税を5%⇒15%に引き上げたところで、すべてが利払い分に消える計算になる。

つまり、日本はすでに、金利の上昇があってはならない国なっているということ。

金利が上昇し始めたら、即、財政破綻に陥る。

国債は暴落し、国債を大量に抱え込んでいる銀行も生命保険会社も
連鎖倒産、破たんに陥ることは目に見えている。

現在、金利上昇を抑え込んでいるのは
日銀の国債引き受け、金融緩和政策である。

日銀は、国債発行の2割を引き受けるところまで資金枠を広げている。
 (2月14日の日銀金融緩和

これは、そうしなければ「国債がもたない」ということのあらわれ。

では、今後も国債引受額を増額をし続けますか?
3割、4割と引受割合を増やし続けますか?

日銀が国債を引き受けた分だけ、市中にはお金がばらまかれる。

実体経済の裏付けのない、通貨膨張がもたらすものは悪性のインフレであり
インフレがもたらすものは、金利の上昇。

つまり、日銀の国債買い入れは、無限に続けられるものではない。

2月14日に、日銀が国債買い入れ資金枠を10兆円増額するという金融緩和策の発表の際、
白川総裁が、「これは時間を買ったにすぎない」と述べた真意はここにある。

日本はすでに、財政破綻、国債暴落、銀行・生保の大量倒産・破たんへの
カウントダウンに入っており、
それを避ける手立てはもはやない。
(消費税引き上げも「時間稼ぎにすらならない」)

IMFは、当然このことをよく分かっている。

金利が2.5%に上がった場合の試算、などとという軽微な金利上昇におけるリスクを把握しようとしているのは
日本の金利がEU各国並みに5~8%に上昇した場合
金融体制がどのような事態になるのかをシュミレーションするためであろう。

(2012年2月14日)


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