経済危機/日本と世界

金融news2012/2/15

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日銀の積極金融緩和策 (2012年2月14日)

日銀は、2月14日、金融政策決定会合で
資産買い入れ基金の上限枠増額などによる追加金融緩和策を決め、
白川総裁は、
「消費者物価上昇率1%が見通せるまで、強力な金融緩和を推進して行く
と記者会見で述べた。

イングランド銀行が摂っている「インフレターゲット」策
(事前に設定した物価水準・達成時期の設定と、外れた場合の報告義務)
ではないものの
「FRB(米連邦準備制度理事会)に近い」という物価上昇のゴールを定めたことになる。

市場関係者からは
「時期といい、内容といい、ある意味サプライズだ」
といった声が聞かれるほど
これまでの「物価安定への姿勢がわかりにくい」という日銀へのいら立ちから
一定の「歓迎」「評価」で迎えられている。

76~77円の高値圏にあった円相場は
白川会見の翌日15日には78は円台半ばまで円安が進み、
日経平均株価は、14日の終値で52円高、15日終値は208円高となり
9200円台を回復した。

《日銀の「資産買い入れ基金」の内訳》

内訳上限額
長期国債19兆円⇒29兆円
国庫短期証券4.5兆円
CP等2.1兆円
社債2.9兆円
上場投資信託1.4兆円
不動産投資信託0.1兆円

この追加金融緩和により、
基金による長期国債の買い入れペースは、従来の月5000億円から
1兆5000億円へと3倍になる。

資産買入れ基金以外の買い入れを含めれば、年間で40兆円規模の国債購入を勧める形となり
来年度の新規国債発行額44兆円に匹敵し、
借換債を含めた国債発行総額の2割日銀が買い入れることになる。

日米欧の中央銀行のそろい踏み

白川総裁の発表に対し、記者からは
「政府サイドからのプレッシャーがあったことが原因か?」
という趣旨の質問が飛んだ。

もちろん選挙を意識した政治家からの「金融緩和で円安誘導せよ」との
プレッシャーはあっただろう。
(日銀法を改正せよ、という声まで上がっているのだから)

ただし、今回の場合、政治サイドの圧力というより
FRBのプレッシャーが日銀の背中を押した側面が大きい。

リーマンショック以降、FRBは米国債や不動産担保証券など買い支え、
60兆円もの資金を市場に流してきた。

欧州債務危機に対して、ECB(ヨーロッパ中央銀行)は
ギリシャ、スペイン、ポルトガルなどの国債を買い込み、
昨年12月21日、ほぼ担保審査フリーで50兆円を金融機関に融資するという
金融緩和を断行している。

世界の危機は、中央銀行が買い支えることのみで「なんとかもっている」状態、といえる。

そして、今回の日銀の物価安定ゴール設定(国債買い入れ増など)により
日米欧の「世界金融危機の中央銀行買い支え体制」が確立した。

問題は、いつまでもつか

ただし、これは「通貨の番人」たる中央銀行が
本来「行ってはならない」、「行わなければならない状態に陥ってはならない」手法だ。

米国も、EU各国も、日本も、国家の累積債務が限界まで膨れ上がっっており
中央銀行が国債の買い支えを行わなければ財政出動など全くできない状況にある。

経済が低迷し、上昇のめどが全くない中で
通貨だけがばらまき続けられればどうなるか?

常識で考えれば、深刻な不況下でのインフレの爆発だ。

現在、世界は、史上経験のない政策をとらざるを得ない事態になだれこんでしまった。

問題は、これがいつまでもつか、だけである。

(2012年2月14日)


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