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ECB2012/3/1

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ECB、57兆円の金融支援第2弾 

欧州中央銀行(ECB)は、2月29日、
合計800の金融機関への5295億ユーロ(約57兆円)の資金供給を行うと発表した。

ECBは、期間3年(3月1日~2015年2月29日)で、
年1.0%という低水準の固定金利、供給規模も無制限、という異例の好条件で入札を募集。

結果として57兆2000億円もの入札があり、
ECBは全額を供給する。

これは、昨年12月に実施し、523の金融機関に4892億ユーロ(約50兆円)の資金供給を行った
初回の供給をさらに上回る規模。
(今回と合わせた供給規模は100兆円を超える)


欧州債務危機は、鎮静化??

昨年(2011年)12月21日に実施されたECBの資金供給は、
欧州債務危機に対する、金融機関への莫大な資金供給による鎮静化を目的として行われた。

ギリシャは無論、スペインポルトガルイタリアなど欧州各国の国債が大幅下落(金利上昇)し、
EU崩壊、欧州発の世界金融恐慌が現実性を帯びる中、
ECBは、たった1日で、50兆円もの資金供給を行うという史上空前の策をとった。

「ビッグ・バーサ」(第1次世界大戦で使われた巨砲を意味する)と名付けられた資金供給は、
欧州危機の状況を一変させた。

銀行間の疑心暗鬼によって資金繰りがひっ迫していた状況は緩和され、
銀行間取引金利は0.5%から0.4%に低下。

ECBから得た資金を、民間銀行は、イタリア、スペインなどの国債投資に振り向けた。

スペインの銀行のユーロ圏国債への投資残高は、1ヶ月で12%増加。
イタリアの銀行も11%増加している。

いずれも過去最高の増加率だ。

2011年11月末に6.5%だった6カ月物イタリア国債の金利は、
12月28日には3.25%まで低下した。

ドイツDAX指数推移とECB資金供給

一方、株価も上昇トレンドに一変した。

欧州を代表するドイツ株価(DAX指数)は、
12月20日の5700ポイントから、21月21日を境に1ヶ月後には6500ポイントまで上昇。
EU圏内だけでなく、中国、インド、ブラジルと世界的に株価は上昇局面に入った。

そして12月21日のECBの50兆円供給に続き、今回3月1日の57兆円供給によって
ギリシャへの債権放棄を金融機関の8割以上が飲む条件が整い、
ギリシャ問題は一旦は鎮静化することになるだろう。


劇薬がもたらす副作用

短期間に100兆円もの巨額をばらまくという劇薬で
欧州債務危機は一定期間、難を逃れる。

リーマンショックがもたらした金融危機に対して、
米国債の購入などで60兆円の金融緩和を行ったFRB(米連邦準備制度理事会)。

2月14日に、公債購入枠を10兆円増額した日銀。(⇒日銀、金融緩和へアクセル?

そして、総額100兆円以上の資金供給を行ったECB。

こうしたバラマキによって、それぞれの中央銀行の資産は2~3倍に膨張している。

日銀の白川総裁は「時間を買う政策」にすぎない、と述べたが
一時しのぎのために、中央銀行が史上類例のない劇薬を使っている。
(今後も劇薬を使い続ける以外にない)

実体経済とかい離したお金の供給が、どんな副作用をもたらすか、
火を見るより明らかではないか?

劇薬の効果が切れ、副作用のみが世界に悪影響を見せ始め
危機の制御が不能となる日は、そう遠くない。

(2012年3月1日)


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