国債利払い2012/3
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国債「利払い費」、増加構造へ (2012年3月)
国債「金利ボーナス」が2011年度内に消滅
国債残高が増加し続ける中でも
「国債利払い費」は、横ばい・低下する、という1990年代以降続いていた「金利ボーナス」現象。
住友信託銀行は、この金利ボーナスが2011年度内に消滅するとの分析をまとめた。
ご存じの通り、日本の国債発行残高は増加の一途をたどっており、
通常であれば、国債残高の増加によって利払い費も増加するはずだ。
しかし、日本では1990年代以降、利払い費は「横ばい~低下」で推移してきた。
(下図参照。クリックすると拡大します)
この現象をもたらしたのは、バブル崩壊以降続いた低金利。
過去の「高金利の国債」が償還期を迎えると「低金利」で借り換えることになり、
「新規発行」分も「低金利」の恩恵を受けることで
利払い費はこの10年、10兆円から7兆円台に低下してきた。
しかし、国債利払い費は、2010年度の7.9兆円⇒2011年度の9.9兆円へと2兆円増加し、
2011年度内に「金利ボーナス」現象は消滅することになる。
過去の「高金利の国債」償還が、一部の超長期債を除き一巡したため
低金利の借換債発行による「ボーナス」がなくなるためだ。
しかも金利の低下はこれ以上の水準は見込めず、
今後は、増加し続ける国債残高の圧力をモロに受け、利払い費は増加して行く。
(これまで日本は特異な環境にあっただけであり、
これからは、積み上がった国債が財政に強烈な圧力となる)
財政への圧力と、日本の国債危機
2011年度の予算は以下の図の通り。
92兆円の予算総額に対し、収入(税収+税外収入)は48兆円。
国債関係費を除いた収支(プライマリーバランス)は、
支出70兆円に対し、収入は48兆円と、22兆円もの赤字だ。
(これに国債利払い費を加えると約33兆円のマイナス!)
このいびつな財政構造が国債残高を膨張させてきたのだが、
「金利ボーナス」状況が長く続いたことで、痛みを伴う改革は先送りされ続けた。
そして2012年度以降、これまでの怠慢のツケが「ボーナスの消滅」とともに
一気に現実の圧力となって現れようとしている。
住友信託銀行の試算によれば、
金利1.5%の水準が続いたとしても
国債「利払い費」は、2003年~2010年度まで続いた7兆円台から
2012年は12兆円、2016年度には15兆円に増加し、
金利が2.5%に上昇した場合は、2016年度に22兆円に膨張する。
しかも、この試算自体が、国債の償還期間を「60年」と設定した甘い前提でのものであり、
実際には、一般的な10年国債であれば10年で買換えがなされるわけだから
今後の国債の膨張圧力は「10兆円単位」とみるのが妥当だ。
(消費税率を上げたところですべて利払い費に消える。
経済を悪化させるだけであり、国債暴落の時期を遅らせる効果しかない)
「金利ボーナス」の僥倖の期間にあぐらをかき
今ごろになって消費税率引き上げでごたごたしている日本という国は
1000兆円という途方もない政府債務を積み上げ、
すでに「何をやっても手遅れ」の状態にある。
私たち国民は、現状をシビアに見極め、
次に打つ手を考え抜き、現実に始めなければならない。
(2012年3月16日)
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