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脱原発、燃料費高騰、円安の影響

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脱原発、燃料費高騰、円安の影響 (2012年3月)

電力5社、燃料費6割増

福島第1原子力発電所の事故は、
日本に「脱原発」の不可逆的流れをつくった。

「原発安全神話」は崩壊し、原子力行政への信頼が回復することなど2度とない。   

東京電力、関西電力、中部電力、東北電力、九州電力の5社は、41基の原発を保有するが、
2012年3月末時点で、定期検査などにより、全ての原発が停止している状態。

再稼働は、地元自治体の反発が強く、簡単には進まない。

当然、この分は火力発電で補わなければならないことになり、
燃料費用は急増している。

東京、関西、中部、東北、九州の電力5社の2011年度の燃料費は、
5兆1000億円と見込まれており、前年度から2兆円も増加する。

資源エネルギー庁は、「9電力会社」の合計では、
2011年度は2兆4000億円、
2012年度は3兆1000億円の燃料費増加と試算した。


原油高騰、円安、そしてインフレ

この電力会社の燃料費増加分2兆円~3兆円は
重油やLNG(液化天然ガス)などの海外からの輸入となる。

これは日本の貿易赤字構造を長期的に生み出すものとなり、
「円高トレンド」を終焉させる一つの要因となるだろう。

ガソリン価格の推移

さらに、イラン情勢の影響で原油価格は上昇しており、
国内のガソリン価格も147円/ℓ(3月26日価格)に高騰してきている。

米・イスラエルのイラン攻撃態勢は着々と準備されており、
原油価格がさらに高騰して行くことは避けらないと見るべきだ。

さらにもう1点、
2月14日、日銀が、
インフレ目標1%をめど(GOAL)として金融緩和を進めることを表明したことを受け
円安の流れが一気に生じた。

つまり、「燃料輸入の増加」「原油の高騰」「円安」という
コストプッシュ型インフレをもたらす3要因がそろったということ。

40年続いた「円高トレンド」、そしてバブル崩壊以降の「デフレ時代」は終焉し、
日本は「悪性インフレ」の時代に急転換しようとしている。

そして日銀は、
インフレが1%を超える状況が生じたとしても
もはや金融緩和をやめることができない。

インフレがもたらす金利上昇を抑え込むために
さらなる金融緩和が必要となるからだ。
(国債の日銀買入枠はさらに拡大しなければならなくなる)

この構造が、さらなる円安、インフレ、金利高をもたらし、
ここから抜け出すことができなくなる状況に日本は追い込まれつつある、ということ。

当面の期間は、「円安は輸出企業に有利」などの見方により「株高」が続くなど
日本経済への良い影響ばかりが現れるだろう。

しかし、今年後半以降は、
貿易赤字化、
不況下のインフレ、
金利上昇、
などの負の構造が日本経済に襲いかかる局面に転換すると見ておく必要がある。

(2012年3月29日)


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