日本国債の中央銀行保有が増大
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国債の「日銀」「海外」保有率が増大
(2013年3月26日)
《ポイント》
- 日本国債の保有率は、「日銀」と「海外投資家」が増加している。
- 期待インフレ率の上昇が見込まれる状況での「国債価格高騰」は異常事態。
- 異常な状況は、早晩調整されることになる。
国債の海外保有、過去最大
日本銀行が3月25日に発表した資金循環統計によると
日銀による国債の保有は、115兆円と12%を占め(2006年3月滅以来の高水準)、
海外投資家による日本国債保有は、84兆円となり、過去最高の8.7%を占めるに至った。
国債、政府短期証券などの政府債務の残高は、960兆円。(2012年末)
2013年末には1000兆円を突破する見通し。 (⇒国の借金、997兆円に(2/9))
日銀は、「資産買い取り基金」の国債買いなどの資金供給オペを拡大しており
これが日銀の国債保有率を引き上げている。
一方、海外投資家の保有率上昇は
海外中央銀行が、欧州債務危機を受けてユーロ建て国債を減らし日本国債の比率を上げていることが要因だ。
日銀新体制の下、さらなる金融緩和が進むとの読みから市場では債券買いが加速し
10年物国債の利回りは0.555%という9年9か月ぶりの水準に低下している。
黒田日銀新総裁が「物価上昇率2%を達成するまではなんでもやる」と発言し、
インフレ期待が膨らむはずの状況下で長期金利が低下を続けることは
ある意味で「異常」だ。
日本国債の海外保有率が上昇する中で
政府の財政規律が緩み、
日銀の「財政ファイナンス」(中央銀行が財政を支える状態)と市場が受け止めれば
日本国債は暴落する。
また、2012年10月~12月期の海外と国内の資金の出入りでは
統計開始以来初めての「海外からの流入超過」となった。
これは、貿易黒字などでお金を海外に投資する経常黒字国・日本が
海外からのマネーに頼る「経常赤字国」への転換点に立っていることを意味する。
大きな転換が静かに始まっている。
(2012年3月26日)
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