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マイクロファイナンス

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マイクロファイナンス 金融用語

マイクロファイナンスとは
貧困者を対象とした小規模金融サービスの総称。 (MicroFinance)

ノーベル平和賞を受賞したバングラデシュの経済学者ムハマド・ユヌス氏が創設した
グラミン銀行が有名。

銀行を利用できない低所得者を対象に少額の無担保融資や貯蓄、送金などを提供し、
貧困に苦しむ人々の自立を支援する。

グラミン銀行の成功とマイクロファイナンスの普及

バングラデシュ大飢饉(1974年)による大量の餓死者の発生。
その貧困救済のための少額融資計画(グラミン・バンク・プロジェクト)がグラミン銀行の出発点。

グラミン銀行の融資対象は「貧困層」に限られる。

融資を受けたものは週1回の集会参加が義務付けられ、
5人1組となって、返済に対する連帯責任を負うことになる。(連帯債務ではない)

この仕組みのキモは、集会とグループ化による「技能」と「責任意識」の向上にある。

集会を通じて、
お金の仕組み(投資、預金、送金)から技術習得、収益確保、文字を読めるようにすることまで
実に様々なレベルでの教育支援が行われる。

つまり、貧困から脱出するための「自立化支援」事業であり、
それを通じた地域経済の自立化が目指されている。

年20%近い金利の高さを問題視する評論も見受けられるが
教育と自立化支援の仕組みを運得する経費を考えれば妥当であり、
現実に高い返済率で事業は拡大し、
その成功が世界的なマイクロファイナンス拡大につながっている。

マイクロファインスの拡大と金融資本

グラミン銀行の成功によってマイクロファイナンスが世界的に急拡大する中で
新たな問題が浮上している。

「莫大な収益を上げる事業モデル」という視点から新規参入が相次ぎ、
投資ファンド手法によって機関投資家、ヘッジファンドなどが利益を求めて大量に参加し始めた。

教育と自立化支援の仕組みを抜きにしたマイクロファイナンス
単なる「貧困者への高利貸し」に堕して行く。

実際に2010年にはインドで、
マイクロファイナンスからの借金返済に窮した貧困者が70人も自殺に追い込まれた。

また、「グラミン銀行などのマイクロファイナンスは、貧困を救済しない」
という批判も加えられ始めた。

マイクロファイナンスから融資を受けた者のうち、貧困から脱出した比率は極めて低い」
「所得が向上したという証拠も、ほとんど見出すことができない」
などといった批判だ。

ここには、「経済のグローバル化」による「世界的な格差拡大」(貧困率の拡大)を
どのように解決して行くべきか?という大きな問題が横たわっている。

多国籍企業誘致のために自由化競争・法人税減税競争などに走る途上国。

収益の最大化を求めて、世界を移動し続け、使いきれない資金をため込む多国籍企業。

多国籍企業の誘致に成功し、そこに雇用された者の所得は確かに飛躍するだろう。

その者たちの消費は、経済に好影響をもたらすかもしれない。

ただ、このモデルがもたらす歪(ひずみ)こそが
一部に集積され、あふれかえったマネーによる世界的金融危機の元凶でもある。

マイクロファイナンスがもたらしている社会的な意義は、
「所得の向上」という視点からではなく、
マネーの犠牲にされない「自立経済圏」を、
貧困から抜け出す道を自らつくりだす「自立した人々」によって創造する機会を提供するもの、
という視点からとらえるべきではないだろうか。


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