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BRICS銀行の創設で5カ国合意

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BRICS銀行創設で5カ国合意 

(2012年3月)

インドの首都ニューデリーで開催されていたBRICS首脳会議は、
3月29日、「デリー宣言」を発表し、
その中で、途上国のインフラ整備を支援する「BRICS銀行」の創設で基本合意した。

従来の途上国への資金支援体制としては世界銀行やアジア開発銀行(ADR)などがあるが
米欧が中心となり、米欧中心社会を再構築するための体制だったと言える。

BRICSが、新興国支援の銀行を創設する方向性を打ち出したのは、
BRICSが主導して、世界の枠組みを作り直して行くという意思を明確化したことを意味する。

また、基軸通貨「ドル」は、FRBによるドルの増刷に次ぐ増刷で劣化し続けており
ドル不信、ドル離れが進行中。
国際通貨体制の将来についても模索が始まっている。

BRICS各国は、BRICS銀行の創設により、自国通貨建ての支援行い、
自国通貨の国際化を進めて行きたい意向も持っている。


デリー宣言と新たな国際金融体制への模索

BRICS首脳会議に出席したのは
インド(シン首相)、中国(胡錦涛国家主席)、ロシア(メドベージェフ大統領)、
ブラジル(ルセフ大統領)、南アフリカ(ズマ大統領)。

議長を務めたシン首相(インド)は、
「BRICSおよび他の途上国が資金提供と運営を担う開発銀行の設立を検討することで合意した」
と強調し、BRICS銀行の設立方針を宣言した。

会議後に発表された「デリー宣言」では、
各国の財務省が主導し、BRICS銀行設立に向けたワーキンググループを設置することを明示した。

今後、各国の出資比率や資金供与対象国など詳細を詰める。

また、5カ国は、各国の開発銀行間で相互に自国通貨建て資金を提供する「同意書」に調印。

BRICS各国は、投融資の分野でも自国通貨を国際化して行く方針を持っており、
こうした連携がBRICS銀行の基盤となって行く可能性がある。

約3兆ドルという世界最大の外貨準備を保有するとされる中国をはじめ、
5カ国か抱える潤沢な外貨準備を有効活用し、
国際通貨体制、国際金融体制の新たな枠組み作りをスタートさせる意図がそこにはある。

5カ国は、IMF(国際通貨基金)への拠出金拡大については
「(IMFの)改革のスピードが遅い」と批判し、
具体的な対応策には言及しなかった。

米国との対立がひろがるイランの核開発疑惑については
「対話による解決が必要」との見解で一致し、
シリアに関しては、アナン前国連事務総長による調停への支持を表明した。

米国が圧倒的指導力を持ち続けてきた世界政治・金融・経済体制に対し、
BRICSは、別の機軸を打ち出しつつ、対抗姿勢を強めて行こうとしている。

BRICS首脳会議 「デリー宣言」の要旨
・IMFの改革の遅れを憂慮する。
 融資能力の拡大は、改革が進むと確信が持てれば、実現する。
・世界銀行総裁の途上国からの立候補を歓迎する。
 世銀とIMFのトップは、オープンなプロセスで選ばれることを求める。
・新たな開発銀行(BRICS銀行)の創設を検討する。
 各国財務相の作業部会を設置し、次回首脳会議で報告書をまとめる。
・シリアの現状に深い憂慮を示し、
 建設的な役割を果たしているアナン前国連事務総長を支持する。
・イランの核開発疑惑については、
 イランの核エネルギーの平和利用の権利と、同国の国際的責務は両立すると認識している。

(2012年3月30日)


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