ロシア危機
金融危機 経済破綻 世界・日本 > 経済動向 > ロシア経済 > ロシア危機
ロシア危機
ロシア危機は、1998年8月、ロシア政府・中央銀行の支払い停止策、
財政悪化に伴う債務不履行(デフォルト)、ルーブル切り下げとその後のハイパーインフレなど
ロシアで発生した一連の経済・金融危機を指し、
LTCMなどのヘッジファンド破たんをはじめ、世界経済に大きな影響を与えた。
ロシア危機の発生
1992年に市場経済に移行したロシアは、以降、
経済システム転換に伴う社会的混乱、高インフレ、高失業率などからマイナス成長が続いていた。
ソビエト連邦の崩壊後、ロシア経済が本格的に動き出したのは1997年。
この年、原油価格が上昇し、ロシアの成長率は一時的にプラスに転じた。
ロシア経済は、輸出の8割が天然ガス、石油をはじめとする資源輸出が占めるなど
資源価格の国際動向に左右される体質を持っている。
これでロシア経済への期待が膨らみ、
外国銀行のロシアへの与信が急増するなど外国資本の流入が急激に膨らんだ。
しかし、1997年7月、タイ通貨バーツの暴落に端を発するアジア通貨危機が発生した。
これにより原油価格は下落し、外国資本の新興国からの撤退が(資本流出)が始まった。
ロシアの景気は後退し、銀行の半数に及ぶ720行が支払い不能に陥るなど金融危機が発生し、
原油輸出がもたらす税収が減少するなど財政赤字が急激に拡大し、
政府の債務残高も増加していった。
ロシア政府は、公定歩合を100%に引き上げるなどで外国資本流出を止めようと試みたが効果はなく、
1998年8月にデフォルトに至った。
ロシア危機の原因と影響
ロシア危機をもたらしたのは、短期間での外国資本の流入と流出にある。
外資による経済発展モデルが形成されようとした矢先に、国際経済環境が激変し
外資が一気に逃げ出し、金融システムがまだ成熟していないロシアを金融崩壊させた。
外資の流出は、経済成長率の低下をもたらすとともに
通貨切り下げによる対外債務の負担増をもたらす。
原油などの資源輸出に依存した経済構造も、危機に拍車をかけ、
財政赤字拡大、政府債務増大をもたらした。
デフォルト後には、ロシア通貨ルーブルが切り下げられ、
1ドル=6ルーブル ⇒ 1ドル=28ルーブルとなったが
これによりハイパーインフレが発生し、ロシア国民生活を直撃した。