理財商品
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理財商品
理財商品とは、
銀行の通常の預金・融資と別ルートで集められる中国の「シャドーバンキング」を代表する金融商品。
信託会社が組成して、主に銀行を窓口に販売されます。
利回りは5~10%。
1年物の定期預金の利回り約3%に不満を持つ預金者を取りこんで、2009年ころから急膨張しました。
理財商品は中国の規制当局の監視を受けない金融商品であり、
デフォルト(債務不履行)時に誰が損失負担をするのか
(個人をした個人・企業か?販売した銀行か?インフラ開発に資金を使った地方政府か?)
あいまいなまま、
膨大な資金が集められ、地方のインフラ投資や不動産開発に投じられてきました。
理財商品の残高は130兆円?
2013年6月29日、中国の「銀行業監督管理委員会」の責任者は
理財商品の2013年3月末時点での残高を8兆2000億元(約130兆円)であると発表しました。
この額は、中国のGDPの約16%、という規模になるわけですが、
(「人民元預金」残高67兆元に対しては、12%です。)
これが実際の数字かどうかは疑わしいと言わざるをえません。
なぜなら、この発表が行われた後の7月3日になって、当の銀行業監督管理委員会が、銀行に対して、
過去2年に販売された分を含む理財商品の情報について登録を義務付ける通達を発しているからです。
つまり、正確な残高など当局は把握していない、ということです。
(おそらく、130兆円という数字の2~数倍、という規模に達していると考えられます。)
中国の信用バブルと理財商品
理財商品の販売によって調達した資金は
地方政府傘下の「融資平台」や「不動産開発会社」を通じて
地方のインフラ投資や不動産開発投資に流れ込んできたわけですが
これがあまりにも過剰な投資をもたらしています。
理財商品の問題とはつまるところ、
信用バブルの形成と、バブルが崩壊した場合に中国の金融システムが破綻するインパクトの大きさにあります。
中国は、リーマンショック後の世界経済停滞により「輸出が急減」しました。
「低賃金」を政策的に構造化させることで「輸出拡大」によって成長を続けていきた中国は、
一旦輸出が頭打ちになると、
所得中間層がほとんどいないわけですから「内需」中心に転換することもできません。
そこで、理財商品が利用され、「投資」による経済の下支えが勧められたわけです。
(つまり、理財商品やシャドーバンキングは、中国政府が意図的に「目をつぶり」「誘導した」ものです。)
今や、建設コストで見た中国の「住宅市場の価値」は、GDPの300~400%に達しているという試算もあります。
日本のバブル期の「住宅市場の価値」が、GDPの375%であったことを考えれば
中国の住宅投資は完全にバブル化しており、早晩崩壊が近いと考えられるのです。
インフラ投資を続けた地方政府も莫大な借金が累積しており、
これ以上、ムダな高速道路建設などを続ければ、財政破綻する地方政府が出てくることになるでしょう。
ツケはだれが払うのか?
2012年12月、華夏銀行が販売した理財商品について、期日までの元本返済がなされず
購入者が銀行に対して返還を求める抗議活動が広がりました。
銀行が理財商品を販売するにあたり、「口頭で」「元本保証」をうたうケースが多く
今後大きな問題になりそうです。
例えば、住宅投資バブルが崩壊したとき、その膨大なツケは誰が払うのでしょうか?
理財商品を購入した個人でしょうか?
この場合、国民の怒りは銀行と政府に向けられ、混乱が社会不安・政治動乱をもたらす可能性があります。
銀行が負担する場合は、中国の金融システムは破綻するでしょう。
どちらにしてもそう遠くない将来に、これらのことが発生することになります。
その影響は、中国国内にとどまらず、必ず世界経済危機を誘発するものとなるはずです。
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