中国-ミャンマー間のパイプライン
中国-ミャンマー間のパイプライン
中国とミャンマーを結ぶ、石油と天然ガスのパイプラインが間もなく完成し、
ミャンマーのインド洋沿岸から中国への輸送が、年内にも始まる見通しです。
投資総額は25億ドル(約2500億円)で、
関連施設を含めると50億ドルに及ぶとされています。
中東からの原油輸入に約5割を依存する中国は、
ミャンマーからのパイプラインを使うことによって、マラッカ海峡や南シナ海を経由せずに石油や天然ガスを引き入れることが可能になります。
中国にとって、周辺国との摩擦が続く南シナ海を迂回できることは
大きなメリットとなるのです。
住民の反発は続く
ただし、中国、ミャンマー両国で、パイプラインに反対する住民のデモなどが広がっています。
パイプラインの終点にあたる昆明市では、
パラキシレンが発生する危険があるなどの理由で住民が反発し、
石油精製施設の建設に反対する大規模な抗議行動が起っている模様です。
ミャンマー側でも山岳部の少数民族が、
中国による環境破壊を懸念し、反対運動が続けられています。
中国は、ミャンマーを抱き込めるか
このパイプラインは、中国の新たな生命線といえるほど重要になるでしょう。
両国に反対運動があったとしても、中国は何としてもこの建設を強行し、
正常な稼働を確保し続けなければなりません。
かつて中国とミャンマーで共同で進めていたダム建設が
ミャンマーの地元住民の反対を理由に中止となったことがあり
中国の36億ドル(3600億円)の投資が水泡に帰したことがあります。
ミャンマーでは、中国主導の開発に対する反発は根強く残っていて
中国にとって大きな懸念材料となっています。
また、この間、日米がミャンマーへの接近を強めていて
テイン・セイン大統領が米国に接近する姿勢を示していることに対しても
中国は警戒を強めています。
パイプラインによって、中国にとってのミャンマーの地政学的重要性が増します。
ミャンマーをめぐる、中国と日米との駆け引きも今後、活発に行わることになるでしょう。
⇒中国経済