粗鋼生産の膨張と中国
粗鋼生産の膨張と中国
5月の「世界の粗鋼生産」は、
前年同月比で2.6%増の1億3630億トンとなり、過去最高を記録しました。
問題は、この半分が「中国」であり、7.7%増の6703億トンとなっていることです。
欧州連合(EU)は4.7%減
米国も5%減など
中国以外の国はどこも減産トレンドにあります。
なぜこれが問題かというと
中国の増産が、需要の伸びや経済成長見通しなどに基づかない
もっと言えば、これらを完全に無視した形で「増産」が続けられているからです。
中国の粗鋼生産を膨張させてゆく理由は
「経済成長ノルマ」を数字上で達成したい地方政府の官僚が
地方政府と一体の関係にある地元金融機関に、
「地元の鉄鋼メーカーが赤字であっても」運転資金の融資を続けることを強要し、
メーカーには増産せよとの圧力をかけ続けているからです。
実際に、23社の鉄鋼メーカーは赤字に転落しているという情報も流れています。
そして、この中国の強引な増産が
鉄鋼価格の下落をもたらし、世界経済に歪(ひずみ)をもたらしています。
(鉄鋼世界最大手のアルセロール・ミタルは中国製品の低価格攻勢を受け、昨年末に赤字に転落。)
ミタルの最高責任者(CEO)ラクシュ氏は
「欧州連合は、中国からの輸入品の関税を引き上げるべきだ」と声高に主張し始め、
タイは2月に、
熱延鋼板を対象に中国製品に対するセーフガード(緊急輸入制限)を発動しました。
中国はさらに製鉄所建設を進めようとしていて
今後、国際問題に発展して行く様相を見せています。
⇒中国経済