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FRB量的緩和2013/5

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FRB、量的緩和を当面継続 (2013年5月)


《ポイント》

  • FRB議長は、議会証言で、当面の緩和継続を表意した。
  • 継続理由としては、歳出強制削減の影響で米経済が楽観できないことをあげた。
  • 同時に、緩和マネーによる「過剰な利益に追及」について「非常に深刻にとらえている」と表明。
  • 緩和縮小にも緩和継続にも動けない深刻なリスクが拡大し始めている。

米連邦準備理事会(FRB)バーナンキ議長は5月22日、米議会の上下両院経済合同委員会で証言し
「性急な金融引き締めは金利上昇をもたらし、景気回復を止めるおそれがある」と述べ、
当面、量的緩和を継続する姿勢を示した。

同時に、経済状況、労働市場の動向を慎重に見極めて判断して行く姿勢も示し
「雇用やインフレ率の変化に応じ、(債券購入)減額にも増額にも両方に備えている」
としている。

議長証言を受け、当面株式市場への余剰マネー流入が続くとの見方が広がり
ニューヨーク株式市場でダウ工業株30種平均は前日比150ドルの上げ幅を見せる場面もあった。

難しい判断を迫られているFRB

バーナンキ議長は
「早期の量的緩和縮小に慎重」な姿勢を見せると同時に
「ゼロ金利政策を長く続けることへの危機感」を表明した。

これは米国並びに世界が今置かれている状況の問題の深さを表している。

「緩和縮小に慎重」な理由は、米国経済の先行きが必ずしも楽観的に見れるものでないことにある。

米政府の歳出強制削減の影響などから夏場にかけて雇用回復が踊り場にさしかかる懸念がある。

1~3月期の実質国内総生産GDPは前期比年率で2.5%伸びたが、
実質増税や国防費カットなどが「相当な足かせになる」(バーナンキ議長)ことで
4~6月期は非常に緩やかな成長にとどまる、という見方が強い。

雇用情勢は改善しているが、
議長は、800万人あまりがパートタイムにとどまっており、労働市場は「総じて弱い」と説明した。

足元の経済状況が力強く固まってない以上、早期の緩和縮小には動けないということだ。

米国 非農業部門雇用者数

「過剰な利益追求への懸念」も表明

一方、量的緩和の長期化がもたらす問題点にについても議長は踏み込んだ発言を行った。

金利収益が著しく低い状況で、投資家がデリバティブなどで無理な信用リスクを取って稼ごうとする
「過剰な利益の追求」と呼ばれる行動について
「非常に深刻にとらえている」と表明した。

緩和マネーがリスクの高い投機取引に流れることで
経済全体のリスクが高まることへの危機感がそこにはある。

FOMC(米連邦公開市場委員会)には、
フィッシャー・ダラス地区連銀総裁などの量的緩和の段階的縮小論も出てきている。

ただし、米欧日の中央銀行による金融緩和によってなんとか回っている状況の世界経済の中で
FRBの緩和離脱が与える影響は極めて大きく、判断は非常に難しい。

だが、このまま緩和を継続すれば肥大した投機マネーがバブル化し、
やがて実体経済とかい離したバブルがはじけ、巨大な金融危機を招きかねない。

FRBは、「慎重に見極めている」のではなく、
行くことも、帰ることもできない状況にはまり込んでいるのである。

(2013年5月23日)




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