金融危機とECB2012/7
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金融危機とECBの指導性
ユーロ圏への加盟国の増加と、近年の世界的金融危機の頻発の中、
ECB(欧州中央銀行)の姿勢が問われる局面が増加している。
2008年の世界金融危機においては、
各国の中央銀行がそれぞれ預金者保護に走り、ECBの指導性に疑問が投げかけられた。
2009年10月に発生したギリシャ債務危機では、
EUとIMF(国際通貨基金)が共同で7500億ユーロに及ぶ巨額支援融資を行い、
ECBも各国中央銀行による国債買い入れという異例の策を発動。
しかし対応が遅れたことから、一時ユーロが大幅に下落した。
金融政策は、ECBによりユーロ圏・欧州圏全体に対して発動され
財政政策は、各国の独自の事情からバラバラの運営がなされるという
欧州の矛盾した構造が足並みの乱れや対応の遅れを招いている。
2011年11月には、ゴールドマン・サックス出身で、元イタリア銀行総裁の
マリオ・ドラギがECB総裁となった。
ドラギ総裁は、12月21日、50兆円もの金融機関への資金供給を断行し、
ギリシャ危機は一旦の鎮静化に向かった。
(2012年3月1日には、さらに57兆円の資金供給を行った)
「通貨の番人」としての規律よりも
「金融体制の維持」を優先させる金融緩和路線を明確に持つドラギ総裁のもと
ECBの指導力に対する批判は聞かれなくなったが、
巨大な資金供給路線が、欧州に、そして世界に何をもたらすかは慎重に見極めるべきだろう。