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農地に交付金、自民検討 

(2013年3月26日)

自民党が農家への新たな交付金制度の検討に入った
(「多面的機能直接支払制度」)

これは環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加に踏み切るための政治的な条件整備といえる。

根拠法となる関連法案を早ければ2013年秋の通常国会に提出し、
2014年度から年間5000億円の予算規模で始める。

戸別所得補償は維持し、さらに「農地」へ交付金

農家への助成は、民主党政権が「農家への戸別所得補償制度」として2010年から導入している。

「戸別所得補償制度」は、
減反に参加する米作農家などに対して、10アールあたり、1万5000円を一律に交付するもので
2011年度からは麦や大豆などの畑作農家にも対象を広げ
2012年度の予算額は6900億円。

自民党は野党時代には、「戸別所得補償制度」はバラマキとして強く批判を続けてきたが
安倍政権は、「経営所得安定対策」と名称を変えて継続する。

さらに今回自民党が検討しているのは
コメなどに限定せず、原則すべての「農地」を対象にし、農地の規模も問わない交付金だ。

農地を適切に維持する農家に対して、農地面積に応じて支給する。

「戸別所得補償制度」には、生産価格が販売価格を上回るコメに限定して、差額を補償する
という理屈が一応あったわけだが、
自民党が今回導入しようとしている「多面的機能直接支払制度」にはそうした理屈さえもない。

農家の高齢化、相続による農地の細分化で農業の生産性が低下し
時代のニーズを取り入れた経営を目指す中核農家の形成は遅れ、食糧自給率は減少の一途の中、
農業を新たな成長産業に転換する方向性が必要となっているはずである。

しかし、自民党の今回の交付金制度には、そうした思考が全くない。

農地を維持しさえすれば、面積によらず、交付金がもらえるなら
農家は何の努力もいらずにカネだけもらえるということになる。

自民党はさらに同様の無方針・無思考で
交付金を、農業だけでなく、林業・水産業に拡大することを検討している。

選挙とTPPのためだけのバラマキ

自民党は、2007年に、農家への支援対象を4ヘクタール以上の農家に限定するという施策を打ったが
これが農家の離反を招き、
民主党の「戸別所得補償制度」というマニフェストに票をさらわれ、
その後の参院選挙敗北、衆院選大敗⇒与党転落の要因の一つになったと考えている。

そして現在、TPP交渉参加で農業団体は反発を強めている。

自民党は、
参議院選を前に、何らかの「見返り」を農家に約束しなければ参院選が厳しくなる
という判断に傾いているのだ。

「票」の流失を食い止めるための、TPP参加に対する「農家への見返り」が
今回の無思考のバラマキ(農地への交付金)だ。

これで
「戸別所得補償制度」の継続:約7000億円 + 新たな「農地への交付金」:約5000億円(+α)
⇒計1兆2000億円以上が、票のために使われる。

日銀の量的緩和の拡大による「国債価格維持」政策は
政府の財政規律を完全に緩めようとしている。

年間税収が40兆円そこそこの財政において、
5000億円の新たな財政支出がどれほど重いものであるかという考えは吹き飛んでしまっている。

(2013年3月26日)


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