贈与非課税、孫も対象に
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贈与非課税、孫も対象に (2013年1月)
政府は1月11日に閣議決定した緊急経済対策に以下を盛り込んだ。
① 孫への教育資金について上限1500万円をめどに贈与税を非課税とする。
② 贈与税に係る「相続時精算課税制度」について、対象を「孫」にまで拡大する。
政府は、①については2013年度税制改正での実現を目指し、
さらに消費税増税とあわせて富裕層への相続税の強化、贈与税の見直しを進めようとしているが
その中で②の検討が始まった。
相続時精算課税制度により「2500万円までが非課税」に!
②について具体的には、
- 「子への財産贈与は2500万円までが非課税」とする贈与課税の仕組みを
「孫への」財産贈与にまで対象を拡大する。 - 「贈与側」の年齢制限も、現行の「65歳以上」から「60歳以上」に引き下げる。
という内容。
ここで「相続時精算課税制度」について簡単に説明しておきたい。
親から子へ贈与する場合、基礎控除は110万円(110万円分が非課税)だが
この「贈与額」を、相続時の「相続額」と合算して相続税額を計算する制度を利用すると
累積2500万円までが非課税枠となる。
この制度を相続時精算課税制度?といい、非課税枠を超えた分については一律20%課税される。
現在は、子への贈与のみが対象であり、贈与側(親側)は65歳以上という制限があるが
それを「孫への贈与」も対象とし、贈与側は「60歳以上」とすることが検討されているということである。
これにより「20歳以上の子または孫」が恩恵を受けられるようになる。
(この恩恵は相続時精算課税制度を利用した場合のみ)
(一度この制度を利用すると贈与税の非課税枠110万円は利用できない)
贈与税の税率も引き下げへ
さらに贈与税の税率に引き下げも検討されている。
・相続時精算課税制度を利用しない場合
・通常の個人贈与の場合
は、贈与税が課税される(非課税枠110万円を超えた部分に。110万円以下の贈与は非課税。)が、
この税率についても、2015年1月から以下のように引き下げる方針。
- 基礎控除後の課税価額:600万円超~1000万円以下 現行40% ⇒ 30%
- 基礎控除後の課税価額:1000万円超~1500万円以下 現行50% ⇒ 40%
ちなみに、現行の贈与税率(及び控除額)は以下。
基礎控除後の課税価額 | 現行税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | - |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1000万円以下 | 40% | 125万円 |
1000万円超 | 50% | 225万円 |
政府の意図
贈与税の見直しは、社会保障と税の一体改革の中で議論されてきたものだ。
消費税8%への引き上げ時には食品などの軽減税率適用は見送られる方針だが
格差是正の観点から
・所得税の最高税率を45%に引き上げ
・相続税の最高税率を55%に引き上げ
を検討している。
家計が持つ約1500兆円の金融資産のうち、6割は高齢者が保有するものだ。
政府は、この眠れる資産の活用を考えている。
つまり、高齢者が自分の資産を眠らせたままにしておくなら高い税率を掛け
子や孫に贈与するのであれば、経済活性化に寄与する使われ方につながるため優遇する。
政府の意図はここにある。
(2013年1月14日)