米長期金利、財政の壁回避で上昇
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米長期金利、財政の壁回避で上昇 (2013年1月)
米長期金利の上昇がこのところ急激に進んでいる。
2012年12月初めに1.6%程度であった米10年国債の利回りは
1013年1月4日には一時1.97%まで上昇。
大きな要因は以下。
- 財政の崖が回避され、投資家がリスク資産への志向を強めている。
- FRB(米連邦準備理事会)の量的緩和第3弾(QE3)の早期終了観測が浮上した。
- 欧州財政危機の連鎖的拡大が一服し、リスク回避のための米国債買いの動きが弱まった。
米国議会では与野党が妥協し、大幅増税と歳出削減が重なる「財政の壁」をひとまず回避し、
多くの投資家が国債などの安全資産への投資を引き揚げ、株式などリスク資産へ振り向ける動きに入った。
1月4日のダウ工業株30種平均の終値は1万3435ドルと2ヵ月半ぶりの高値となった。
また、FRBが1月3日に発表したFOMC(米連邦公開市場委員会)の議事録で
複数の委員が、量的緩和第3弾(QE3)を2013年末より早く打ち切るべきだとの見解を示したと分かり
米国債を大量購入しているQE3の早期終了⇒米国債価格の下落、との見解が広がった。
米長期金利は2%を超える?
では、今後も長期金利の上昇は続くだろうか?
「財政の崖」をめぐる議論の中で社会保障税の「引き上げ」が合意されており
幅広い世帯への負担増がもたらされることから「米国GDPを1.3%押し下げる」との見方が出ている。
(一段の金利上昇に見合う景気回復は見通しにくいということ)
また、3月末に向けて連邦債務上限引き上げ問題で与野党が再び激しく対立する可能性が高い。
FRBの金利政策についての議事録からの類推も
投票権のない緩和延長反対派委員の声が過度に誇張され、市場が過剰反応しているだけ、
との見かたもできる。
外為市場では、米長期金利上昇を受けドル買いの動きが広がり
1月4日の円相場は一時1ドル=88円48銭と、2年半ぶりの円安水準となった。
(安倍政権発足による日銀のさらなる金融緩和観測もその背景にあるが。)
ドル・円相場はともかく
米長期金利は、今後は模様眺め様相が一定期間続くと見るのが正解だろう。
ただし、ある一定の時期後には制御不能な金利上昇局面が訪れる可能性が高いことを
きちんと認識しておくことも同時に必要である。
(2013年1月6日)
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