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米財政が直面する3つの問題

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米財政、直面する3つの問題 (2013年2月)

昨年末に「財政の崖」をなんとかしのいだ米財政が再び緊迫している。

3月以降、直面する「3つの問題」を乗り越えなければ世界経済を揺るがしかねない状況だ。

  • 歳出の強制削減(3月1日から)
  • 暫定予算の失効(3月末)
  • 連邦債務上限の引き上げ(5月末まで)

歳出の強制削減

財政再建の道筋について与野党合意ができない場合に発動されるのが「歳出の強制削減」。

強制削減される額は10年間で1兆2000億ドル(約110兆円)に及ぶ。

「強制削減」は、「与野党合意を促す目的」で法制化されたものだが
万一、合意に至らなかった場合の負のインパクトは非常に甚大だ。

ホワイトハウスの試算では、発動となれば2013年度の国防費は13%減、非国防費は9%減となり、
教職員や米連邦捜査局(FBI)などの司法機関の職も失われることになる。

米国経済の成長率は0.5%程度押し下げられ、消費減退、雇用悪化は避けられず、世界経済へも悪影響が及ぶ。

そもそもは発動しないことが前提の措置だったが
混乱する議会状況の中で「いったん発動した方が緊張感が生まれ、協議が進む」との見解も浮上している。

ただし、発動となったときの影響の大きさから発動回避に向けた調整がぎりぎりまで続く見通しだ。

米財政の健全化には今後10年間で4兆ドル規模の赤字削減が必要だが
増税や歳出削減などで実施が決まっているのは2兆ドル程度にすぎない。

オバマ大統領は、国防費を中心とした歳出削減と増税を主張し、
共和党は、社会保障費の大幅削減を主張し、増税に反対している。

残り10日でこの大きな溝を埋める抜本策で合意することはぼ不可能であり、
強制削減発動を一時的に回避したうえで抜本策合意の道筋をつけることが現実的な選択だが
まだ先行きは見えない状況である。

暫定予算の失効

現在、米政府は2013会計年度(2012年10月~2013年9月)を暫定予算でつないでいる

期限は3月27日

それまでに「新たな暫定予算」を決議するか、「本予算」となる歳出法を成立させなければ
予算の執行ができなくなり
「政府窓口業務の停止」や「数十万人の連邦職員の一時帰休」などをせざる得なくなる。

政府機関の閉鎖という事態を避けるために残された時間は少なく
暫定予算を再度議決してしのぐしか方法はなさそうだ。

債務上限の引き上げ

米国では、連邦政府が「新規に国債を発行できる上限」が法定されており
上限が近付いた場合は、議会で上限額の引き上げを可決しなければならない。

この債務上限を突破すると国債発行ができなくなり
利払いに必要な資金の得られなくなるなど米国債のデフォルト(債務不履行)の危機にさらされる。

「財政の崖」で揺れていた昨年末に16.4兆ドルの法定上限にほぼ達し、
1月下旬に、必要な歳出相当額に限って5月半ばまでは上限上積みができる法案が可決された。

つまり、5月半ばまでには、債務上限を再び引き上げなければならない。

上院では民主党、下院では共和党が過半数を握る「ねじれ」状態の中で
短期間の上限設定が繰り返され、そのつど市場が振り回される状況が今後も続きそうだ。

(2013年2月18日)


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