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福島原発の使用済み核燃料問題

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福島原発、使用済み核燃料を移動開始 

(2013年2月24日)

福島第一原子力発電所の廃炉に向け、
その最初の山場となる使用済み核燃料の取り出し、共用プールへの移動が始まろうとしている。

福島第一原発事故で水素爆発が起り、建物が損傷して特に危険な状態にある4号機上部のプールには
1533体の使用済み核燃料がそのままの状態にある。

もし、再度の大地震などで冷却総機能が失われた場合、
すべての使用済み核燃料がメルトダウンを起こし、放射性物質が漏れ出す事態となれば
 福島第一原発から250kmはなれた首都圏の大半でも住民が避難すべき放射能量に達する」(原子力委員会)
と予測されており、
最悪のシナリオ回避のためには一刻も早い対策が必要となっている。

使用済み核燃料は4号機に隣接する共用プールにいったん移動し、冷却する。

ただし、共用プールの保管能力は6840体だが、既に6377体が保管されており
新たに入れられるのは463本にすぎない。

したがって、既に保管され、13年以上経過してセ氏200度程度まで冷えた使用済み燃料を
プールから取り出して「乾燥キャスタ」と呼ばれる装置に移設することになる。

つまり、原子炉建屋プール⇒共用プール⇒乾燥キャスタ、という手順で移動する作業が必要であり、
共用プール⇒乾燥キャスタへの移動は、早ければ4月から開始予定となっている。

4号機建屋上部のプール⇒共用プールへの移動作業は、その後の11月から始められる予定だ。

1~4号機の建屋プールに残されている使用済み燃料を共用プールに移動する作業は
今後10年にわたって続けられることになる。

最悪のシナリオの心配が小さくなるのは、この一連の作業が落ち着いてからである。

最終処分はどうするのか

共用プールへの一時的保管によって、非常時のメルトダウンの危険が小さくなったとしても
高レベルの放射性廃棄物をどこで、どのように最終処分するのかという問題が残る。

経済産業省は、「全量再処理」(つまり、プルトニウムを取り出して、高速増殖炉などで再び燃やす)
という政策を継続する方針だ。

しかし現実は、
再処理事業の要である「六ヶ所村再処理工場」の建設は不具合が続出し、完成のめどが立っておらず、
(19回にわたって完成時期が延長されてきた)
再処理後の燃料を再利用する高速増殖炉の原型炉「もんじゅ」もトラブル続きで、長く稼働していない

経産省が行き詰まった「再処理」を掲げざるを得ないのは
もう一つの方法である「直接処分」の方法も全くめどが立たないからである。

まず、「直接処分」しようにも手を上げる自治体が見つからないだけでなく、
日本学術会議が
現時点で地層処分の安全性を証明することはできない。
 従って、我が国で地層処分をすべきではない。
という提言を昨年行い、前に進める根拠さえ失われた。

全国の原発などに保管される使用済み核燃料は既に1万7000トンであり
貯蔵容量の7割に達しており、限界に近付いている。

残り時間は少ないが、先が見えない状況を変える方途は見えない。

(2013年2月24日)


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