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白川日銀総裁、退任会見

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白川日銀総裁、退任会見 

(2013年3月20日)

白川方明・日銀総裁が、3月19日に、4月8日の任期満了前に退任した。

20日に、黒田東彦・アジア開発銀行(ADB)総裁が日銀総裁に、
岩田規久男・前学習院大学教授、中曽宏・前日銀理事が日銀副総裁に就任する。

白川総裁は、
リーマンショック、欧州危機、東日本大震災などへの対応など相次ぐ危機対応に追われる中、
2010年10月に長期国債の大量購入などの「資産買い入れ基金」を創設し、
2012年2月には「物価のめど」1%を導入するなど緩和姿勢を加速させてきた。

しかし、「通貨の番人」としての中央銀行の役割を大前提とした白川日銀の姿勢に対し
「遅すぎる」「サプライズがない」「もっと大胆に」などの批判もつきまとい、
安倍内閣の成立は、いわば政治的圧力によって強制的な路線転換を強いる形での次期総裁人事となった。

白川総裁の退任会見は
慎重な言い回しの中に、「日銀新体制に対する危惧」の本音が込められたものとなっている。

白川総裁 退任会見の要旨

●5年間を振り返った感想について。

激動の5年間だった。リーマンショック、欧州債務危機、東日本大震災、2回の政権交代と、めったに起きないことが次々に起った。
2008年9月のリーマンショックに対しては、ドル資金などを迅速に供給し、CP、社債市場に異例の買い入れを実施した。
これは中央銀行の最後の貸し手としての役割であり、金融システム安定のために極めて重要だった。

●デフレ脱却ができなかったことについてどう総括するか。

評価にはもう少し時間が必要。
日本と欧米諸国が現在展開している「非伝統的な政策」は、
「出口」から円滑に脱却できて初めて全プロセスを通じた評価が可能になる。

●中央銀行はどうあるべきか。

経済、物価、金融システムの安定を目指すという基本理念はいかなる時代も変わらない。
金融グローバル化が進み、
各国の中銀から見た「部分の最適」と、「世界全体の最適」の関係が従来以上に難しくなっている。
中銀が知恵を出しあって行かなければならない。

●デフレは貨幣的現象か。

全ての経済現象を貨幣だけで説明できるわけではない。
デフレ克服には中銀の強力な金融政策はもちろん必要だが
同時に、競争力、成長力の強化に向けた、幅広い取り組みも不可欠だ。

●市場との対話、働きかけはうまくいったと思うか。

市場から見て望ましいことが、長い目で見た経済の安定にとって望ましいことと
必ずしも一致するわけではない。
「期待への働きかけ」が、中銀が言葉によって市場を思い通りに動かすという意味であれるとすれば、そうした市場観、政策観は、私には危うさを感じる
コストやリスクがない政策はない。
過去の経験が示すように、一旦危機が顕在化してしまえば、その影響は大きく、かつ長い間継続する
「想定外のリスクが発生してしまった」という言い訳は許されない

●どのような信念で職にあたってきたか

通貨と日銀への信任を守ることだ。
具体的には3つ。
第一に、金融システムの安定を維持すること。
第二に、日本の財政状況が苦しい中、金融政策が財政従属にならないこと
第三に、政策について誠実な説明を心がけた。

●大量の国債購入で財政ファイナンスに道筋をつけたのではないか。

「財政ファイナンスを行わない」という日銀の信念は固い
政府の財政規律と日銀の規律の両方が求められている。

(2012年2月28日)


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