経済危機/日本と世界

日銀の積極金融緩和と生命保険

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日銀の積極金融緩和と生命保険 

(2012年2月)

日銀の白川総裁は、2月14日、
「消費者物価上昇率1%が見通せるまで、強力な金融緩和を推進して行く」
と記者会見で述べ、
「FRB(米連邦準備制度理事会)に近い」という物価上昇のゴールを定めた
積極金融緩和へギアを1段も2段もあげる方針を表明した。

今後、日銀による長期国債の買い入れペースはこれまでの月5000億円から
一気に1兆5000億円と3倍になり、年換算では40兆円規模の国債購入を進めることにる。

ついに日銀が動き出した

14日の日銀の発表を受け、15日には日経株価平均は208円高の9260円まで上昇し、
外為市場では、78円半ばまで円安が進行。

市場では「カネ余りの株価上昇局面に入る」「1万円回復まで見えてきた」などの声が上がっている。

欧州危機が深刻化した昨年後半以降、世界的に株価は低迷し、
ギリシャはもちろん、ポルトガル、スペイン、イタリアなどの国債も大幅下落を続けた。

ECB(ヨーロッパ中央銀行)は、これらの国債を買い支え、
12月には、4890億ユーロもの巨額を金融機関に無担保で融資するといういわば空前のばらまきを行い
株価も、国債も一時的に暴落に歯止めがかかった形になっている。
(12月21日のECBのマネー供給以降、株価は上昇、金利も低下している。)

米国の中央銀行に当たる「FRB」も、サブプライム危機、そしてリーマンショック以降、
不動産担保証券や米国債などを買い支え、
資産は従来の3倍にも膨れ上がるという事態になっている。

そして、「腰が定まらない」などと言われてきた日銀が
ついに物価上昇のゴールを定め、国債をさらに買い増す積極姿勢を鮮明にした。

中央銀行の動きは、危機の深刻さの現れ

白川日銀総裁の発表を受け、新聞記者からは
「政府からのプレッシャーがあったのでは?」という質問がなされたが、
日銀のの方針決定の背景には、政府の、というより
FRBのプレッシャーがあったと考える方が妥当。

つまり、日米欧の中央銀行が結束して「カネをばらまき続け」なければならないほど
現在の事態は深刻だということ。

今後日銀は、
ギリシャ危機・欧州ソブリン危機の底割れを防ぐために欧州に資金を出し、
国内においては、国債を暴落させないため国債をさらに買い続けることになる。

ただし、これはいわば「禁じ手」。

こんなことを続ければ、浮遊するカネが、どこかでまたバブルを生み、はじけ、
さらに不良資産を膨らませることになる。

「最後の貸し手」である中央銀行においても限界はあり、
その限界が来るのは時間の問題といえる。

生命保険会社はそのときどうなる?

私たちの見えないところで危機は進行してる。

3年前の時点で、EUの財政危機が国債危機・金融危機そしてEUの崩壊の可能性がささやかれる事態になることを予想する人いなかった。

つまり、現代の金融危機は水面下で進行し、突如その姿を表す。

日本の生命保険会社は、加入者から預かった資金の運用において
株価低迷を受け、安全資産と言われている「国債」に傾斜し、
国債を膨大に抱え込んでいる。

もし、国債が暴落(金利は急上昇)したらどうなるか?

財政はもちろん、年金も吹き飛ぶが
民間企業である生命保険会社もひとたまりもない。

私たちは、こうした事態も起こり得るということを認識したうえで
生活を守るために何をすべきか考えなければならない時代の中にいる。

(2012年2月17日)

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