欧州2013/5
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欧州企業、2期連続の減益
(2013年5月14日)
《ポイント》
- 欧州企業は、2四半期連続での「2桁」減益。
- 要因は、内需減退、通貨高、中国経済の低迷。
- ユーロ圏経済は2年連続でマイナス成長となる見通し。
- 一方で、DAXをはじめ、欧州株式市場は上昇が続く。金融緩和が、マイナス成長下での株高をもたらしている
欧州企業の「減益」が2四半期連続となったもようだ。
トムソン・ロイター社の「欧州284社」についての集計によれば
2013年1~3月期の純利益は12.8%減少した。
2012年9~12月期の13.4%の減益に続いての「2桁減益」となる。
南欧だけでなく北部地域でも景気が伸び悩んでおり、域内内需が減少。
そしてユーロ、北欧通貨の通貨高も加わり、収益減少の構造が生まれている。
業種別では、10業種中で
一般機械、情報技術、通信サービス、金融、素材、公共事業、エネルギーなど8業種が2桁減益だった。
(増益の業種は、景気変動の影響を受けにくい「生活必需品」関連だけだった。)
2013年のユーロ圏経済は2年連続でマイナス成長となる見込みだ。
EUの2013年・実質経済成長率見通し | |
---|---|
ユーロ圏 | ▲0.4% |
ドイツ | 0.4% |
フランス | ▲0.1% |
イタリア | ▲1.3% |
スペイン | ▲1.5% |
ギリシャ | ▲4.2% |
さらに中国経済も減速傾向が鮮明になっており、中国向け輸出でのカバーも期待できない。
また、ユーロ高、北欧通貨高が欧州企業の利益を目減りさせており、今後も厳しい状況が続きそうだ。
欧州株は上昇
欧州企業の2桁減益が続く中、欧州株式市場では上昇が続く。
- 独株式指数(DAX)は史上最高値
- 欧州主要企業で構成する株価指数「STOXX欧州600」は5年ぶりの高値
- 英FTSE100種総合株価指数は、1999年末に付けた過去最高値まであと5%
経済状況の厳しい南欧諸国でも株価は持ち直し、
債務危機で深手を負っている銀行株も上昇している。
これは、金融緩和効果への期待からなる。
ただし、南欧では貸出し金利が高止まりしており、
利下げの経済押し上げ効果は小さいとの見方がほとんどだ。
金融緩和は、経済低迷下での株価上昇という形を変えたバブルを形成し始めている可能性が高い。
(2013年5月14日)
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