欧州、大手のリストラ策に政府介入
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欧州で進む、銀行離れ と 社債バブル (2013年1月)
《ポイント》
- 欧州企業は、社債による資金調達を拡大している。
- 要因は、「欧州銀行の資産圧縮⇒貸し渋り」と「金融緩和マネーの増大」。
- 年金・生保・ヘッジファンドが社債投資、企業融資を拡げている。
- シャドーバンキング化が進めば、金融システムの不安定化要因となる。
欧州で、企業の「銀行離れ」と「社債による資金調達」が進行している。
2012年に欧州企業が発行した社債の総額は、約5790億ドル(51兆円)。
銀行借り入れの中で規模の大きい「協調融資」4700億ドルを上回った。
2009年にも世界金融危機を受けて大手企業が手元資金を確保する動きを強め
一時的に「社債発行総額」が「協調融資額」を上回る現象が起きている。
今回は
- ユーロ危機対応のための大手銀行の資産圧縮⇒貸し渋り
- 世界的な低金利を背景とする「社債バブル」
がその背景にある。
現在、日米欧中央銀行の史上類例のない金融緩和によって世界的な低金利の状況にある。
これを受け、格付けの低い企業が発行する社債にもマネーが流入。
本来「投機的」とされる「ダブルBプラス」以下の企業が低金利で社債を発行し
その資金でローンの返済や企業買収を行っている。
欧州は、伝統的に銀行借り入れによる間接金融が主流であり、
現在でも資金調達の8割は銀行に依存している。
しかし、欧州債務危機の対応を迫れる銀行は自己資本比率を高める必要があり
IMF(国際通貨基金)は、「欧州銀行は2兆8000億ドルの資産売却の必要ある」と警告するなど
とても融資を積極的に拡大する状況にない。
その一方で、世界的金融緩和を受けたマネーが社債に流入し
いわば「社債バブル」を形成する状況に入った。
年金・生保も新たな貸し手に
銀行が貸し出しを絞る中で
年金基金や保険会社が、企業への新たな貸し手として台頭してきた。
年金や生保は、世界的な低金利で、国債などの従来型証券運用で利回り確保が難しい状況にある。
- 英保険大手のプルーデンシャルの資産運用部門M&Gインベストメンツは新たなファンドを立ち上げ、
年金・生保などから15億ポンド(約2100億円)を集め
運送会社・住宅企業をはじめとする英企業への融資を始めた。
- オランダの公的年金を運用するAPGは、運用資金の2~3%を企業やインフラ整備への融資に充てる。
- デンマークの大手年金ペンションダンマークは、
国有化されたアイルランドの大手銀行バンク・オブ・アイルランドから貸出債権を購入し
年金の長期運用に見合う長期間融資に取り組み始めた。
欧州銀行は今後も資産売却を進める見通しであり
銀行が放棄する債権を、こうした年金・生保・ヘッジファンド・運用会社が購入する流れだ。
ただし、銀行以外による融資の増加は
規制当局の管理外となるためシャドーバンキング(影の銀行)化し、
金融システムがより不安定になる可能性がある。
社債のバブル化とともに、懸念材料は拡大していると言える。
(2013年1月6日)
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