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欧州危機は解決していない

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欧州危機は解決していない (2013年2月)

ギリシャ危機に端を発する欧州債務危機は、ECBによる100兆円を超える金融緩和・国債買い入れなどにより
金利低下に向かい、一旦の鎮静化を見た。

しかし、問題は何も解決しておらず、いつ再燃してもおかしくない状況は変わっていない。

財政問題

スペインをはじめとする南欧諸国の財政赤字削減はほとんど進んでいない。

イタリアスペインポルトガルなどは2012年にマイナス成長に陥ったが、
2013年もプラスに転じる可能性は低く、十分な税収が得られないことから苦しい財政運営が強いられる。

●フランス
英米系格付会社フィッチ・レーティングスは、2013年中のフランス国債格下げの可能性を示唆した。

仏ベルギー系金融機関デクシアの救済に費用がかさみ、景気低迷による税収増から
財政赤字のGDP比3%の目標達成はほぼ困難と見られている。

●スペイン
目標としていた財政赤字GDP比3%の達成は不可能で、7~8%に膨らむと見られている。
欧州委員会は、2013年のスペイン経済をマイナス1.3%と見ている。

●ポルトガル
目標としていた財政赤字GDP比5%の達成は不可能。
ポルトガル中央銀行は、2013年のポルトガル経済をマイナス1.6%と見ている。

銀行の資本不足

欧州危機の中心は、銀行部門の不健全性にある。

欧州圏の銀行部門の資本不足は5000億~1兆ユーロ(62兆円~125兆円)に達する。

スペインだけでなく、フランスドイツの銀行も資本不足
問題が明るみに出るのは時間の問題だ。

英国は、中央銀行総裁としてカナダの中央銀行総裁を引き抜いた。

この新しい英国中央銀行総裁は
「名目GDPが10%増となるまで金融緩和を続ける」という超金融緩和を示唆。
金融緩和アクセルをさらに踏み込もうとしている。

欧州連合(EU)は、各国が共同で創設した金融安全網から銀行へ、資本を直接注入する方向だ。

各国が個別に問題銀行救済で財政負担を負わずに済むようにするのが狙い。

早ければ、2014年4月から欧州安定メカニズム(ESM)から直接資本注入を始める
(銀行監督一元化も同時に本格稼働する)

つまり、各国の「財政債務問題」と「銀行の問題」の切り離しを行おうとしているのだが
ESMによる銀行株買い入れは、ESMの財政基盤を危うくするとしてドイツが反対するなど
実施までにはなお曲折が予測される。

財政危機も銀行危機も、あまりに根が深く、容易に解決の方途が見出せない、というのが現実なのである。

(2013年2月)


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