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投資銀・格付け2012/3/17

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投資銀行の格付け、世界的に引き下げへ 

(2012年3月)

米格付会社ムーディーズは、
投資銀行の格付けを世界的規模で「引き下げ」に入った。

2月15日、米欧アジアの主要な投資銀行17行について
一斉に引き下げる方向であると発表した。

米モルガン・スタンレー、クレディ・スイス、UBSを、3段階、
ゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェースを2段階、
野村ホールディングスを1段階引き下げる可能性がある、と公表。

ムーディーズは、欧州債券危機について
ECB(欧州中央銀行)の昨年12月21日、今年3月1日に行われた大規模な資金供給により
一時的に小康状態を保っているものの、先行きについては悲観的な見方だ。

また、先進各国が金融規制強化に動いており、
今後投資収益の悪化が避けられないとの見方も根強い。

今後、ムーディーズは、
「A2」としていた主要投資銀行の格付けを「Baa」レンジまで下げるとしている。

投資銀行格付引下げ引下げ幅
クレディ・スイスAa2⇒A23段階
USBAa3⇒A33段階
モルガン・スタンレーA2⇒Baa23段階
ドイツ銀行Aa3⇒A22段階
バークレイズA1⇒A32段階
ゴールドマン・サックスA1⇒A32段階
シティグループA3⇒Baa22段階
野村HDBaa2⇒Baa31段階


野村HDは、投資適格最低水準へ

ムーディーズは3月16日、
野村ホールディングス(HD)の格付けを
「Baa2」から投資適格の最低水準である「Baa3」へ引き下げたと公表。
(Baa3は、ジャンク級の1歩手前)

2011年7~9月期に最終赤字を計上(460億円の赤字)したが、
その主因となった海外ビジネスの収益悪化が問題視された。

野村HDは、世界金融危機の引き金となったリーマンブラザーズ破たんを受け、
リーマンのアジア・欧州部門を買収。

これが人件費を膨らませ、
さらに欧州危機の発生でトレーディング部門において大幅損失を招いた。

リーマンの人材はすでに3分の1が流出し、
一方で人件費高騰から「環境が厳しくなるとすぐ赤字となる」体質に陥り、
リーマン買収は「完全に失敗」と見るアナリストは多い。

ただし、今回の格下げが野村HDに与える影響は限定的と考えられる。

格下げによりデリバティブ(金融派生商品)取引での追加担保の差し入れが必要となるが、
その額は200億円程度であり、
700億円強の手元流動性を抱える同社の負担としてはそれほど大きなものではない。

また、12億ドル(約1000億円)のコスト削減計画を公表し、
欧州を中心に、聖域であった日本でも人員削減を始めている。

ムーディーズは、野村の今後の見通しについて「安定的」とし、
当面は追加格下げの懸念は遠のいた。

しかし、信用力が収益性に直結する法人向け証券ビジネスを手掛ける上で投資適格の最低水準とされた格付けが足かせとなることは避けられず
格付けを再び引き上げて行くのは容易ではない。

野村HDの経営は、今後も厳しい状況が続くことは間違いないとみられる。

(2012年3月14日)


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