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円の独歩高、株価は歴史的安値

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円の独歩高、株価は歴史的安値 

(2012年6月2日)

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ユーロだけでなくドルからも資金逃避⇒円の独歩高

ギリシャからスペインに広がる欧州金融危機に加え、
米国経済も減速感が出始めたことで、「円の独歩高」が鮮明になってきた。

円は対ユーロで11年半ぶりとなる1ユーロ=95円台に上昇(6月1日)、
対ドルでも1ドル=77円台に突入している。

これまで欧州危機を背景にドルと円に資金シフトの流れが続いてきたが
6月1日に発表された米雇用統計で、雇用者増加数が市場予測の半分以下に落ち込み、
「ドルも安心して買うことができない」との見方が投資家にひろがり、
円に資金が集中している状況だ。

6月17日に実施されるギリシャの再選挙の後に金融市場の混乱が警戒されていることに加え、
欧州危機が、ユーロ圏第4位の経済規模を持つスペインの国債価格下落と
約900億ユーロの資本注入が必要とされるスペインの銀行救済問題が欧州の先行きを不透明にしている。

スペイン国債を大量に抱え込み資本不足に陥っている銀行と、
国債価格下落(利回り上昇)で市場からの資金調達ができず銀行救済がままならないスペイン政府。

欧米への不安から、円は消去法的に買い進まれている。

日経平均株価は歴史的な安値圏へ

急激な円高進行を受けて日経平均株価は6月1日、
8500円台を下回り、20年ぶりに9週連続の下落を記録した。

ソニーの株価は一時1000円割れ目前まで売り込まれ(32年ぶり)、
パナソニックも500円割れ寸前の安値をつける(32年ぶり)など、
NEC,シャープ、マツダ、富士フィルムなどなど主要企業が軒並み歴史的安値を付けている。

注目すべきは、株価純資産倍率(PBR)が1倍を下回っている(6月1に時点で0.87倍)
にもかかわらず、株価下落にストップがかからないことだ。

株価が1株当たり自己資本の何倍あるかを示す株価純資産倍率(PBR)は、
通常なら1倍を下回ると割り安と判断され買い戻しの動きに入るのだが、
1倍を下回った5月以降も株価は下落を続けている

つまり、欧米の先行き不安から円が買われているものの、
日本経済の先行きに対しても市場は厳しい判断を下していると言える。

そして、欧米日に財政出動の余力はなく、
「金融緩和」のみが事態を転換させる道だとの議論が再燃している。

たしかにそうだろう。

再度の金融緩和にECB、FRB、日銀が動き出すまでの間は
世界的に株価は下落し続けるだろう。
(追加金融緩和が行われれば、再び株価上昇局面が一時的に生まれるだろう。)

ただし、金融緩和とは、「時間を買う政策」(日銀・白川総裁)にすぎず、
問題を解決するのではなく、より深刻な危機を準備するだけのものだ。

世界は今、出口のない深みにはまり込んでおり、
より巨大な破綻が準備されようとしている。

(2012年6月2日)


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